はじめに

行政書士の仕事は行政庁に書類を作成して提出することです。行政庁と言うと、総務省や国土交通省などの中央官庁が思い浮かぶと思います。ただ、中央官庁が行政書士の仕事場になることはほとんどありません。まれに中央官庁と関係することもあります。今回は行政書士と中央官庁とのお話です。

なぜ中央官庁へ行かないのか

許認可の申請先が国土交通省となっていたとしても、許認可申請で中央官庁に赴くことはほとんどありません。国土交通省の地方支局などで提出ができるからです。

このような申請を経由申請といいます。これは、申請の便宜を考えて、最寄りの下級行政庁で申請ができるようにしているのです。そうでないと九州の行政書士はわざわざ東京まで出張しなければなりません。このように中央官庁が仕事場になることはほとんどないのです。

ただ、マイナーな申請は別です。国の取扱い数が年間100件にみたない許可というものもあります。このような依頼をうけた場合は、中央官庁などで相談しないといけません。情報があまりに少ないからです。各省のホームページに記載がなかったりもします。

本当に困ったときは中央官庁へおうかがい

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中央官庁などに行かないのが一番いいのですが……。

国会が法律をつくり、各省が省令などでそれを具体化し、これらに基づいて現場がより具体的なマニュアルをつくって、公務員が窓口で対応しています。

ただ、「事実は小説より奇なり」という言葉がありますが、法律が想定していなかったようなケースもあります。その場合、窓口では対応できず、上司と相談して中央省庁の確認をとってから申請を受付けるなどということもあるようです。

また、窓口の担当者が、明らかに法律や裁判例などの認識を間違っている場合も、上司を呼んでもらい、それでも解決ができない場合には、中央官庁へと話がいくこともあります。これは何回か経験したことがあります。

ただ、いずれにせよ行政書士が法律解釈論を巡って行政庁と学説を戦わせるようなことはありません。それは、弁護士が国を相手に訴訟を通じて行うことであり、弁護士の仕事です。

行政書士は、行政書士法1条にあるように、「行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することを目的」としています。行政書士の徽章は「コスモス」、花言葉は調和です。行政相手に戦うのではなく、国民と行政の調和に資することが仕事なのです。