犬が欲しい! 連れてこられた動物愛護センターで『ぼくがすて犬になった日』
誕生日に子犬を買ってもらう約束を両親とした「たっちゃん」。連れてこられたのは、期待したペットショップではなく「動物愛護センター」での犬の譲渡会でした。「たいくつでつまんないや」とふてくされた様子で、フーセンガムをふくらませながらセンターの職員の説明を聞いていたたっちゃんは、突然予期せぬ世界に迷い込み、捨て犬たちの思いを聞くことに! 犬や猫の寿命も延び、人生の伴侶として捉える「コンパニオンアニマル」という考え方があります。『ぼくがすて犬になった日』で語られる、人間の都合で翻弄される犬たちの思いが、たっちゃんの心を強く動かします。初めて知った捨てられた犬たちの運命
たっちゃんは、センターの職員の説明も上の空で思いっきり膨らませたフーセンガムが割れた途端、犬になっておりの中に。中にいた犬たちがたっちゃんに話しかけてきます。「おまえはここでくらすんだ。しばらくな」。「しばらく」とはどういう意味なのでしょうか? 犬たちにはどんな運命が待っているのでしょうか?犬が年老いて面倒を見るのが大変になったから、引っ越し先で動物が飼えなくなったから、予期せず子犬や子猫が生まれてしまったけれどこれ以上は飼えないから、かわいがったペットが死ぬのを見たくないから……。捨てられて保護されたり持ち込まれたりして保健所に収容される犬たち。人間側には色々な事情があったとしても、犬や猫にとって「見放された」事実は一緒です。おりの中にいる犬たちが外に出られる方法はただ1つ、期限までに人間にもらわれること。そしてその期限は、「あした」だったのです。もらい手が決まらない犬たちは、「処分」されていきます。センターの人たちだって取りたくはない道です。理不尽さを理解できず涙を流す、犬の姿のたっちゃん。他の犬たちもつらいにもかかわらず、ペロペロとなめて慰めてくれる中で眠ってしまったたっちゃんは、目が覚めると現実に戻っていました。