アリスとフランチェスコの関係はスキャンダラス!?
CD『スキャンダル』のジャケット。発売は2014年5月21日(水)
アリス=紗良・オット(以下、ASO):笑。フランチェスコと知り合ったのは3、4年前です。それ以前から彼について雑誌で読んでいたり、音楽も知っていたのですが、所属レーベルであるユニバーサル・ミュージックのワールドカンファレンスがロンドンであったのです。そこではいつも新しいアーティストが何人か紹介され、当時は私もまだ新人アーティストだったので弾き、その時に彼も弾いていて、初めて出会ったんです。とても気が合って、それ以来、お互いにコンサートを聴きに行ったりし、年に2、3度は会っていたんです。
大:なるほど……。
ASO:それで、今から1年半前に次のレコーディングについてレコード会社と話し合っていたときに「フランスのバロック音楽を録音しよう」ということになり、J.S.バッハの『2台のチェンバロのための協奏曲』も入れたら面白いかなと思って、彼に「一緒に弾いてくれない?」と聞いたんですよ。そうしたら、すぐ「うん」と返事してくれて。最終的にそのプロジェクトは実現しなかったんですけれど、折角の機会なのでデュオのプロジェクトをやってみない?ということで実を結んだのがこの企画です(笑)。
大:そうなんですね。フランチェスコはテクノでの活躍もありますが、最初に聴いたのはクラシックの演奏ですか? テクノですか?
ASO:初めて知ったのはクラシックです。彼は私より8歳くらい年上で先に録音もしていて、初めて聴いたのがJ.S.バッハのゴールドベルク変奏曲だったと思います。それをとても気に入って。特別なものを持っていると感じました。彼がテクノもやっているということは後から知りました。2012年に舞踏家の勅使川原三郎さんとコラボレーションして彼が弾いたゴールドベルク変奏曲も、出だしでとてもキレイな音色を出していました。惚れ込んだというか(笑)、感動しました。
大:本当に純粋に彼のクラシックの演奏に惹かれたんですね。
ASO:そうなんです。私はバッハが大好きで、彼のバッハはとても良いなと思って。
大:デュオで演奏してみていかがでした?
ASO:私はどちらかというと情熱的ですが、彼はそうではなく、キャラクターが全然違うので、ちょうど良いバランスにできました。彼は結構はっきりされていて、クラシックでも何でも弾くわけではなく、バッハやドビュッシー、20世紀の音楽など限られていて、また、すごく強い意見をお持ちなんですよね。私とは全く違うのでたまに喧嘩したりもしましたけれど。
大:でも、結果的に個性がお互いを高め合って面白いものが生まれるなら良いですよね。
ASO:えぇ、最終的には音楽としてマッチするんで。