ごめんねなんて「いいたくない」
「けんかしちゃった」。仲良しのくまくんとうさぎくんが背を向けて反対方向に走り出しました。ごめんねなんて絶対「いいたくない」2人です。大事な友だち、大切な人とけんかをしてしまったとき、仲直りする秘訣は何でしょう? 答えはとても簡単なのに、2人はそれを見つけるまでに少し時間がかかってしまいました。幼児期のお子さんから大人まで、心にグッとくる絵本です。
仲良しだからこそ、時にこじれるけんか
仲直りは魚釣りが終わってからにしよう、いちごつみが終わってからにしよう……などと先延ばしにしていく、くまさくん。仲の良い者どうしがけんかするというのは相当な負のエネルギーを生み出しますから、仲直りもそうそう簡単にはできないのですよね。タイミング悪いことに、うさぎくんがきつねくんとにこやかに遊んでいるところを見かけてしまい、「いいよ、ぼくはりすくんとあそぶから……」と心をさらに固くしてしまいます。そして家に帰ってからにんじんをコトコト煮て作ったのはジャム。きれいなオレンジ色のジャムを見ていたら、まただれかさんのことが気になって仕方がなくなりました。にんじんジャムなんて、くまくんが大好きなだれかさんが大喜びしそうなものですものね!早く気づいてよかったね!
夕焼けで、にんじんジャムと同じオレンジ色に染まった部屋の中で、くまくんは、あることに気づきました。うさぎくんと仲直りする秘訣で、分かっていたのに気付かないふりをしていたこと。時を同じくして、うさぎくんも同じことに気づいてくれたようです! ああ、2人とも早く気づいてよかった! きつねくんやりすくんも、2人の様子にホッとした様子です。周りがどれだけ心配しても、思いを伝え合って修復できるのは、本人同士だけですから……。意地を張って本当の気持ちを伝えられない人がいる人は、この絵本を読んだら、その人の所にすっ飛んで行きたくなるかもしれません。文字も少なくシンプルなストーリーですが、優しい気持ちになれるこの絵本は、様々な年代の人の心に響くと思います。