多いときでは1億の借金も!2度の大敗から学んだ大鉄則とは?
桐谷さんは増税で投資スタイルを変えるのか?
「市場の原理はシンプルです。下がれば上がるし、上がれば下がる。私は30年間の投資生活でそれを実感してきました。それに、増税で景気が悪化するのを、政府が手をこまねいて見ているとは思いません。なんらかのテコ入れ対策を打つはず。ですから、そこまで株への影響は気にしていないんですよ」
今は、銘柄を物色しながら買いのタイミングをじっと待っている最中なのだそう。冷静なその判断は、過去の大失敗があってこそだと言います。
「これまでの経験で学んだことは、やはり“安い時に買う”という大鉄則です。以前の私は、現金をそのまま持っていても利子がつかないのだから株に投じたほうがいいと思ってきました。株なら値上がりが期待できるし、配当も優待も来る。だから手持ちの現金をすべて投じて、さらに株券を担保に証券会社から多いときで1億円を借りて信用取引をしていたんです。そして、バブル崩壊とサブプライムで2回も大負けし、死ぬ思いをしてしまった…。過去の反省から、今は買いたい気持ちがあっても下がるまでじっと我慢して待つという冷静さを学びましたね」
「600の銘柄が生み出す配当と優待で、楽しい人生送ってますヨ」
増税後こそ優待投資が有効
「今は投資ですごく儲けようとは思っていないんですよ。今ある株が、配当と優待を生み出してくれれば、それで充分楽しい人生がおくれますから。たとえば3000万円くらいの保有株があれば、配当と優待で充分に豊かな生活が可能です。もちろん、そこまでなくたって、余裕資金を少し回せば、株の配当だけで定期預金しているよりも配当がもらえるのではないでしょうか。居酒屋の優待券ひとつ持っているだけでも、友達を誘って飲みに行きたくなる。気持ちのゆとりにつながりますネ」
株式優待は、少額投資家におトクなシステム
雨の中取材を受けてくれた桐谷さん
「配当は保有する株数によってもらえるお金が違うけれど、優待の場合は少額投資家でも同じようなモノが貰える。つまり、分散投資するほどいろんな優待品が手にできるということになります。株主優待は、ほぼ日本ならではのおトクなシステム。そのメリットを存分に享受しながら、皆さんもオトクで楽しい優待ライフをおくってください」
桐谷 広人さんプロフィール
1949年広島県出身、将棋棋士・投資家。日本テレビ系のバラエティ番組『月曜から夜ふかし』で現金を使わず、株主優待のみで生活をする姿が話題になった。現在はテレビ、雑誌、書籍などで幅広く活躍し『桐谷さんの株主優待生活』など著書多数。
★引き続き、桐谷さんが選ぶNISA銘柄についてインタビューします!
取材・文/西尾英子 撮影/松本英明 パネルデザイン/引間良基