最近の不動産市場の動向について
多くの賃貸管理会社からのヒアリングによると、東京都における今年の1~3月の賃貸住宅市場は、繁忙期ということもあり概ね好調なものとなりました。
立地条件の良い物件では特に底堅い動きを見せており、入居者が退去してもすぐに次の入居者が決まるような状況が続いており、4月に入ってもまだまだ好調な動きとなっています。
賃貸経営を取り巻く環境
舛添東京都知事は平成32年の東京オリンピック開催に対して非常に積極的な姿勢を示しており、それに合わせて東京の不動産市場も勢いづいて行くことが予想されます。
今後の市場動向については、「アベノミクス」「東日本大震災の復興需要」「消費税の増税」「円安」「東京オリンピックの開催」の5つが重要な鍵となってくるでしょう。これらは全て物価の上昇に直結し得る為、警戒が必要です。
不動産売買についても非常に活況なものとなっており、特に中古マンションにおいては価格が大きく上昇しています。これは、売り控えによる供給不足が価格の上昇につながったものと見られます。更に、ファンド系の動きも活発になってきており、立地条件の良いビルやマンションの売り物件は購入意欲が強く、今後はミニバブルのようになってくるでしょう。
また、職人不足による労務費の上昇や円安による建築資材の高騰により、現在、建築費が大きく上昇しています。最近も、昨年9月に消費税駆け込み契約をされた都内の建築費10億円クラスのマンションが、本見積もりの時に15%上昇してしまい大きな計画変更を余儀なくされたなどのケースもあります。
建築費の上昇は初期投資の負担の増加に直結し、事業収支に大きな影響を与えることになる為、賃貸住宅を新築される際には、特に重要なポイントとなります。
費用の上昇分を回収する為には家賃を高めに設定する必要がありますが、地域相場とかけ離れた金額では入居者が付くはずもありません。これからは、今まで以上に慎重で正確なマーケティングや差別化の戦略が必要になります。
今後、8%から10%への移行時の駆け込みも予測されると同時に、景気の冷え込みとのバランスがどのようになるのか、本当に注視が必要です。
なお、既存の物件にとって、最新設備を備えた新築物件の供給は脅威となりますが、今後も建築費が高騰し続けるようであれば賃貸住宅の新築は手控えられる可能性もあり、供給の減少は、ライバル物件の出現が減少につながるという点においては、既存のオーナーさんにとっては安堵する状況と言えます。
また、新築物件の家賃が高騰すれば、既存物件の賃料面での優位性は相対的に上がることになります。
従って、建築費が上昇したからといっても、既存のオーナーさんは必ずしもネガティブになる必要はありません。
建築費指数