ちょっと変わったペットの飼い方教えます
動物が大好きな兄妹は、小動物を飼っていましたが、犬やウサギのような大きい動物を飼いたいと思っていました。大人は「だめ、だめ。絶対に飽きて世話をしなくなるから……。」なんてひとこと言いたくなるところですが、この兄妹のお父さんは、ちょっと違っていました。「もっと大きな動物を飼いたい。」という子どもたちの希望を叶えるべく、ちょっと変わった動物の赤ちゃんを連れて帰ってくれたのです。なんと、それは恐竜でした。男の子なら1度は飼ってみたいと思う、素敵なペット(?)の、飼い方・育て方を絵本が伝授します。運動不足にご用心 『きょうりゅうのかいかた』
お父さんが連れてきた恐竜の赤ちゃんのお世話は、大変なんていうレベルではありません。大きな家やトイレを用意し、食べる餌の量も想像以上です。予防注射だってしなくてはなりません。あれこれと知恵を絞り、万全の準備がすっかり整ったにもかかわらず、元気のない恐竜。ここから、お話は一気に動き始めます。「元気がないのは運動不足のせい。」と動物のお医者様に指摘された子どもたちは、恐竜をハイキングに連れ出すことに……。この運動不足解消のアイデアは、はたして功を奏するのでしょうか?
子どもたちが学んでいく恐竜の飼い方は、もちろんフィクションで、言うまでもなくありえない設定なのですが、登場人物たちが、何の疑問もためらいも持たずに恐竜を飼いはじめるシュールさが面白く、彼らに引きずられるのでしょうか、「私も、恐竜飼いたい!」と半ば本気で思ってしまう読者もたくさんいるようです。
リアルなのにとても優しい眼をした恐竜を描いたのは、動物画家でもある薮内正幸さんです。絵本だけでなく、多くの動物図鑑や『冒険者たち―ガンバと15ひきの仲間』などの児童書の挿絵を描き、その絵は常に精緻でありながら温かみを感じさせるものばかりです。この作品の、あり得ないのにありそうな(?)世界観を作り上げるのに、藪内さんの絵が大きな役割を果たしていることは言うまでもありません。
そうそう、1つお伝えし忘れていたことがありました。この兄妹がお世話している恐竜の名前は、どん。町の空き地を住所に定め、ちゃんと市役所への届け出を済ませ、登録カードも発行されました。もちろん、持ち主の欄には、兄妹の名前「まきと と めぐみ」が記載されています。もしもどこかで見かけたら声をかけてくださいね。
【書籍DATA】
くさのだいすけ:文 やぶうちまさゆき:絵
価格:907円
出版社:岩波書店
推奨年齢:6歳くらいから
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