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人気車の「売れる理由」から考える車選びのポイント

2014年3月にオールアバウトが運営する「生活トレンド研究所」が、消費税の増税による駆け込み需要の調査を行いました。増税前に「自動車」を購入した人は全体の1割程度と少なかったものの、対象者の購入した車種を分析すると自動車のトレンド傾向が見えてきました。そこで今回は、人気車種の「売れる理由」と「自分に合うクルマの見つけ方」を解説します。

小池 りょう子

執筆者:小池 りょう子

車ガイド

増税前に購入された車種のうち、全体では最も多いカテゴリーが「国産・ガソリン車」でした。しかし40代~60代は「ハイブリッドカー」の割合も高く、特に60代では35.7%を占める結果となりました。

また、最近の軽自動車市場では子育て世代のママをターゲットにしたモデルが大人気。今回の調査でも30代では「新車の軽自動車」を購入した割合が27.6%で1位です。今回は、発売から2年以上が経過しても売れに売れているハイブリッドカーのトヨタ「アクア」と、軽自動車の日産「デイズルークス」が注目を集める理由を掘り下げていきます。(参考:「生活トレンド研究所」)

「身の丈に合った」ハイブリッドカー

トヨタundefinedアクア

連続1位の記録を更新し続けるアクア

2011年12月の発表当初は「納車まで6カ月待ち」状態で、何カ月も「販売台数1位」に輝き続けたアクア。今までにトヨタ「プリウス」とホンダ「フィット」に何度か1位を奪われたものの、2014年2月には再び1位へ返り咲いています。

アクアの人気の理由はリッター37kmという驚異的な燃費だけでなく、圧倒的なコストパフォーマンス。同じメーカーのハイブリッドモデルに「プリウス」がありますが、本革シートなどの高級装備の付いた最上級グレードを2車種で比較してみると、アクアが約186万円で、プリウスでは約318万円(どちらも消費税抜き価格)。エンジンの排気量はアクアが1500CC、プリウスが1800CCなので、その差300CCで100万円以上の価格差があると考えると、アクアのお買い得感が浮き彫りになってきます。しかもアクアはプリウスと同系列の販売店で買えるため、プリウスを見に来た人が結局アクアを買っていく現象もあるようです。

60代にとっては「クラウン」より「最高級グレードのアクア」が魅力

グレードは3つ、カラーは11色、さらにセットオプションを選んでいく商談が展開されるアクア。オーダーメイドの服を注文するような感覚で、自分だけの一台が仕上がっていく特別感を味わえます。しかも一番高いグレードでフルオプションにしても200万円台。「年金生活になっても、今さら軽自動車までランクを落としたくはない。それなりの高級感と運転しやすさを求めたい」という60代にとっては「痒いところに手が届くクルマ」です。「いつかはクラウン」という昔のキャッチコピーが心の片隅に残っていても、いざ買える年齢になった今は、運転技術や運動能力の低下で、この先大きな車を持つことを不安に感じる60代。4m幅の狭い道路でもスイスイ取り回せて、都市部の立体駐車場にも入り、軽自動車よりも車格は断然上に感じられるアクアは「今さら高級感を求めてクラウンを買うより、時代と自分に合った車を」と、見栄だけで選ばないのが賢いと思わせてくれるのです。

インパクトのない「CM」が幅広い年齢層に効果的だった

アクアのキャッチコピー「日本のハイブリッド」は、日本人全員がターゲットのような抽象的なもの。CMにもキャラクーやタレントを使わず、イメージを限定させていません。今回の生活トレンド研究所の調査で、車を購入する際に参考にした情報源を聞いたところ、インターネット世代である20代では意外なことに「テレビCM」が1位。アクアの「これといって強烈な個性のないCM」は、逆に「自分にも似合う車かも」と若者に思わせる結果となり、幅広い年齢層に受け入れられる商品となっていきました。

このようにターゲットを決めないことで、60代には無理して若い人向けの車に乗っている感はなく、20代には親の車を借りてきました感もなく、誰が乗っても良い車であるイメージ作りに成功したアクア。日本人の「みんなと同じならどこか安心」という心理を満たしてくれて、おまけに飽きずに長く乗れるスタイルやインテリアも老若男女を問わず売れる理由なのでしょう。

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