注意が必要、既存の盛土造成地
盛土の部分を中心に地滑りが発生
造成地は土を切り取った切土の部分、土を盛った盛土の部分から成り立っていますが、この盛土された部分で東日本大震災後に大規模な地滑りが報告されており、今後も注意が必要です。
しかし実際には、その宅地が盛土なのか切土なのか、どのくらい危険性があるのかなどを調べることは難しいのが現状です。
見習いたい、仙台市の取り組み
仙台市が公開した宅地造成履歴等情報マップの例(出典:仙台市)。赤く着色されたところが盛土部分。
仙台市では宅地造成地の規模に関わらず、市内全域の詳しい情報を公開しています。これで、既存の宅地造成地に住む人やこれから引っ越しを検討している人は、自分でその宅地の状況を調べることができるようになりました。この仙台市のような取り組みが全国に広がることを期待したいところです。
盛土造成地の調査、公表は4.4%の自治体のみ
ところが平成26年3月28日の国土交通省の報道発表によると、盛り土造成地の有無やマップを公表している市区町村は全体の4.4%にとどまっているということがわかりました。より詳しく発表内容を見てみると、全国の市区町村の数は1742、そのうち大規模盛土造成地の有無の確認に着手しているのは45.4%にあたる791市区町村、調査を終えているのは28.4%にあたる495市区町村、そのうちホームページなどで結果を公表しているのは4.4%にあたる77市区町村のみとなっています(【表1】参照)。
調査、公開している自治体は防災意識が高い
大規模な盛土造成地については、2006年の宅地造成等規制法の改正を機に、調査を行うよう国土交通省から全国の自治体に対し要請が出ています。それから8年を経過してもなお1742ある全国の市区町村の半数以上が造成地の有無の確認に着手しておらず、調査を終えているにも関わらず400以上の市区町村が市民に公開していないということになります。
このような情報は市民の安全に深く関わってくることなので、なるべく早く取り組んでいただきたいと思います。別な角度から見れば、すでに公表を終えている77の市区町村は、防災意識が高い自治体といえますね。
それでは次のページで、盛土造成地の公表を行っている市区町村の内訳をみてみましょう。