好き嫌いの分かれる、挑戦的なデザイン
コンパクトSUVにしては、かなり挑戦的なスタイリングである。デザインコンセプトとなったのは2011年に発表された“キャプテュル”。それは、ルノーデザインの責任者がパトリック・ルケモンから元マツダのローレンス・ヴァン・デン・アッカーに代わって第1弾となるコンセプトカーだった。要するに、この風味が、最新ルノーデザインの始まり、である。もっとも、生産モデルのキャプチャーは、顔つきやエンドピラーの処理など、特徴的な雰囲気こそコンセプトカーから引き継ぐものの、ボディラインはやはり現実的で、ベースとなったルーテシア(欧州名クリオ)の方が、デザイン的には攻め込んだものになっていると思う。他ブランドのSUVに比べれば、かなり大胆なデザインではあるけれど……。
ルーテシアよりも、最低地上高を80mm、上げている。これで、200mmという十分なクリアランスを得た。FFなので、本格オフローダーとしては使えないが、200mmあれば、かなり走れるだろう。
日本仕様として、2グレードが用意された。ベースグレードの“ZEN(ゼン)”は、16インチタイヤ&ホイールでモノトーンカラーとし、上級の“INTENS(インテンス)”は17インチで個性的な2トーンだ。2トーンタイプのみの輸入にしたかった、らしいが、やはり嫌う人も多い、ということで、やむなく、モノトーンも導入したらしい。その意思は、はからずも、接近した車両価格にあらわれていると思う。
パワートレインは1.2リッター直4ターボ+6速デュアルクラッチ(乾式タイプ)のみ。
好みのはっきりと分かれるデザインだ。クロスオーバーSUVは、言ってみれば昔のクーペみたいなもので、実用性のあるスペシャリティカーなわけだから、好き嫌いのはっきり出るデザインがいいと思う。兄弟分のジュークが売れているのも、そこがポイントだ。
インテリアももちろん専用デザインで、エクステリアとの整合性のあるもの。ルーテシアと同様に、ありふれた素材ながらチープにみえない上手さがある。頑張り過ぎない、けれども、シンプルになり過ぎない、というあたりに、そのセンスが発揮されているように思うが、どうか。
インテリアで注目は、「ジップクロスシート」と呼ばれる細工。これは、シート生地を気分に応じて張り替えることができるもので、縫い目をシート目に併せるなど、なかなか凝った作りになっている。シートや内装の着せ替えアイデアは、シートカバー以上に手軽なものがなく、なかなか定着しないものだけれども、エクステリアデザインで遊んだクルマなら、イケるかも。