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ロシアファンドから資金流出

主要国(G8)からロシアを除いた主要7カ国は、ロシアをG8から外すことを決めました。ロシアがクリミア半島を併合したことに対する抗議です。これにより、ロシアの株価や通貨ルーブルが下落。ロシアに投資しているファンドの現状はどうなっているのでしょうか。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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ロシアファンドを保有している人が気をつけたいこと

ロシアの株価指数であるMICEX指数は、2月17日時点で1507.49ポイントでしたが、クリミア半島を巡るゴタゴタを経て、3月14日には1237.43ポイントまで下落しました。この間の下落率は17.91%にも達しました。またロシアの通貨であるルーブルの対米ドル相場も、2月17日時点では1ルーブル=35.22ドルでしたが、これも3月14日時点では36.55ドルまで、3.66%下落しています。

株安と通貨安は、ロシアの株式を組み入れて運用している投資信託の運用実績に影響を及ぼします。

たとえば、HSBCロシアオープンの基準価額は、同期間中、6331円から5328円まで下落しました。下落率は15.84%で、MICEX指数に比べて若干、下げ幅を小さく抑えられましたが、わずか1ヶ月間で15%超の下げ幅は、受益者からすれば厳しい状況です。

問題は、このまま保有し続けるべきか、それとも解約するべきか、でしょう。
基本的に、この手の有事がマーケットに及ぼす影響は、一時的なもので済みます。状況が落ち着けば、株価もルーブルも、再び元の水準を目指して上昇するでしょう。

ただ、マーケットが回復するのと同様に、投資信託の運用状況も回復するかというと、少し微妙な問題があります。確かに、株価やルーブルが元の水準に戻れば、ファンドに組み入れられている株式の時価も上昇するため、基準価額を押し上げる形になるのですが、この間、解約に伴う資金流出が止まらなくなると、ファンドの運用を継続できなくなる恐れが生じてくるのです。

逆に、いくら基準価額が下落しても、資金流出さえ生じていなければ、ファンドの運用は健全な状態を保てます。

つまり、このようにマーケット環境が急に悪化した場合は、解約による資金流出が増えていないかどうかという点を、しっかりチェックする必要があります。

前出のHSBCロシアオープンの純資産残高は、2月17日時点で93億3800万円。それが3月14日時点では75億7100万円まで減少しました。もちろん、純資産残高は組入資産の時価総額ですから、ファンドに組み入れられている株式が値下がりすれば、資金流出が生じていなくても、純資産残高は目減りします。そこで、基準価額との比較で、解約に伴う資金流出の有無を調べてみると、やはり流出が生じていました。2月17日から3月14日までの20営業日中、資金流出があったと思われる日数は16日もありました。

このように資金流出が続くと、ファンドマネジャーは解約資金を作るため、ポートフォリオの一部を取り崩し続けなければならなくなります。しかも、ロシアのような新興国の株式は、ただでさえ流動性が低いので、相対的に売り易い銘柄を中心に売却していきます。基本的に流動性の高い銘柄というのは、それなりに市場で人気のある銘柄ですから、それを先に手放していくと、ポートフォリオに残るのは流動性の低い、市場での評価が低い銘柄ばかりになる恐れがあります。当然、運用成績の大きなリカバリーも、望み薄になります。

同ファンドに限らず、ロシアに投資しているファンドを保有している人は、まず資金流出が生じていないかどうかという点を、しっかり確認しておきましょう。一定期間における基準価額の騰落率と、純資産残高の増減率を比較し、純資産残高の増加率が基準価額の上昇率を上回っているか、純資産残高の減少率が基準価額の下落率よりも小さければ、資金は流出していないことになります。
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