「ドリフトダイビング」とは?

ドリフトダイビング

ドリフトダイビングと一般的なダイビング

「ドリフトダイビング(Drift Diving)」とは、流れのある場所で、その流れに乗って広範囲を楽しむダイビングスタイルのこと。一般的なダイビングは、オープン・ウォーター・ダイバー・コースでも習うように、「前半は流れに逆らって泳ぎ、後半は流れに乗ってエキジットポイントに戻ってくる」のですが、流れに逆らって泳ぐのは体力を消耗し、エアの消費も大きくなります。

その点、ドリフトダイビングなら、エントリーしたら潮の流れに乗って移動し、浮上したところでボートがピックアップ。流れに逆らって泳ぐ必要がないため、体力の消耗が少なく、なおかつ非常にエキサイティングな水中シーンを楽しむことができるため、多くのダイバーから人気を集めています。

また、ボートが係留するためのアンカーを打つ必要がないため、水底のサンゴなどを傷つけず、環境保護の観点からも利点があります。
 

ドリフトダイビングの3つのタイプ

ドリフトダイビングには、使用するボートやダイビングポイント、海況、ダイバーのレベル、目的によって、以下の3つのタイプがあります。

●水面フロートを使用
グループのひとりがラインでつないだ水面フロートを引っ張り、その下で全員がかたまってドリフトするスタイル。ボートは、水面にあるフロートの後を追い、ダイビングが終わって浮上してきたダイバーをピックアップします。ボートがグループを追跡しやすく、周囲のボートにはそこにダイバーがいることを警告するのにも役立ちます。

●水面フロートを使用しない
水面の流れが水底よりも速く、水面フロートを持ったダイバーが引きずられてしまう場合や、ラインが地形の起伏や障害物で絡まってしまう可能性のある場合は、水面フロートを持たずに潜るというスタイルも。ボートは、ダイバーの吐く泡を追ってグループを追跡します。複数のグループが潜っていたり、水面が荒れて波立っている場合などは、追跡が難しくなることもあります。

●水面フロートを使わずにスタートし、最後に使用
上記の2つの利点を組み合わせたスタイル。水面フロートを使用せずに潜り、浮上間際にシグナルマーカーブイなどラインにつないだリフトバッグを膨らませて水面に打ち上げ、ラインに沿って浮上します。細長いチューブ状のものは、空気を入れると水面から上に高く突き出る設計で、ボートから発見されやすいのが特徴です。
 
ドリフトダイビング

ドリフトダイビングでは必携のホイッスル&シグナルマーカーブイ。2014年に改訂されるPADIオープン・ウォーター・ダイバー・コースでは、講習中にシグナルマーカーブイの使用法を学びます。


たたんで丸めたフロートはコンパクトで、BCDのポケットに入れておくこともできるので、ドリフトダイビングを楽しむ際は、ひとり1つは携帯することが推奨されます。
 

ドリフトダイビングの注意点とポイント

潮の流れに乗って潜るドリフトダイビングでは、いくつかの注意点があります。ひとつは、エントリーから潜降、ダイビング中、浮上まで、すべてにおいてダイバーが緊密に連携する必要があるということ。流れの速い場所では、気をつけていないと、グループがあっという間にバラバラになってしまいます。ボートが後を追いかけてこられるよう、全員がまとまって行動しなければいけません。

また、ダイビング後にボートにピックアップしてもらうために、事前にしっかりと打ち合わせをしておくことも重要です。どの方向に潮が流れており、潜っているのはどのくらいの時間で、どの場所での浮上を予定しているか、万が一ボートとダイバーが出会えなかった場合はどのような手順をとるのかなどを確認し、ボートからの万全のサポートを確保しておく必要があります。

もちろん、いくらドリフトダイビングとはいえ、潮の流れが速過ぎたり、複雑で流れが読めないような場合は、その場所でのダイビングは避けるべきですし、ダイバーのレベルによって、可能な場合と不可能な場合があります。無理をせず、快適に潜れるコンディションであるかを見極めることも大切です。

ややもすれば「上級者向け」や「危険なスタイル」といわれることもあるドリフトダイビングですが、海のコンディションを見極め、適切な手順を使って、ボートと連携して潜ることで、ダイバーにとって非常に快適なダイビングスタイルとなります。

インストラクターやガイドにすべてを任せるのではなく、ダイバー自身がドリフトダイビングについての正しい知識と適切なスキルを身につけていることも大切ですので、PADIの「ドリフト・ダイバー・スペシャルティ・コース」を受講するなどして、しっかりと準備をしてから、ドリフトダイビングを楽しむことをおすすめします。

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