4月から消費税引き上げ、株価への影響は軽視できない
日本株の調整が長引いています。その要因がさまざまに語られています。アルゼンチンペソの暴落、中国の理財商品(シャドーバンキング)の初のデフォルト等の新興国ショック、ロシアのクリミア半島の実効支配によるウクライナ危機などと、海外からさまざまな悪材料が噴出していますが、筆者は日本国内の要因が大きいと思われてなりません。2013年度第3四半期(10月~12月)のGDP(国内総生産)成長率が低成長だったように、日本の経済成長、言い換えれば景気の拡張に疑念が生じているからと考えられるからです。低成長に甘んじているのに、消費税を引き上げて大丈夫なのか?と海外投資家はみているのです。
2013年度第4四半期(1月~3月)こそ消費税引き上げ前の駆け込み消費などによりGDP成長率は高まるものの、2014年度第1四半期(4月~6月)は想定以上のマイナス成長、同第2四半期(7月~8月)もマイナス成長から脱しないのではないかと予測していると考えられているからです。
景気の拡張局面は中小型株に注目を
ただ、景気の低迷、否、景気の後退は政府に取っては是が非でも避けたいはずです。年末には消費税の再引き上げの判断を行わなければならないからです。このため政府からは、なりふり構わぬ政策が出てくる可能性があると考えられます。1つは日本銀行の追加緩和。もう1つは昨年不評をかった第3の矢と呼ばれる成長戦略第2弾。安倍首相が2014年1月下旬のダボス会議で述べた規制緩和等は、国内では大きく報じられていませんが国際公約に近い形に捉えられているからです。言い換えれば、通信簿である株価が上昇しないと、政権の足元がおぼつかなくなり最悪政権交代も視野に入るかもしれないことから、安倍政権は本気で景気対策=株価対策を行ってくると考えられるわけです。
本気の景気対策が行われると予想すれば、足元の株価の調整は強気で臨みたいところです。とはいえ、これまでと比較して銘柄の選択は難しくなることから、銘柄の選択眼に自信のない人は投資信託を活用するのが無難でしょう。景気の拡張局面では、大型株よりも中小型株の方は上昇率が高いと言われていることから、狙い目は中小型株を投資対象とする投資信託でしょう。
そこで注目したいのが、岡三アセットマネジメントが2014年3月10日に運用を開始した「中小型成長株オープン(愛称 スモール・モンスターズ・ジャパン)」です。
大化け株の発掘を含んだ愛称
注目したい背景は、中小型成長株オープンが組入れ銘柄を絞り込み運用が行われることです。交付目論見書によれば、最終的な組入銘柄数は30銘柄程度まで絞りこむことです。30銘柄の絞り込みといえば、主に大型株を投資対象とするコモンズ投信の「コモンズ30ファンド」が有名ですが、中小型株で同様の絞り込みを行うのはかなり厳選度が高いファンドといえるのです。銘柄選択にあたっては、高い技術力、優れた商品開発力、特徴あるビジネスモデル、事業構造の改革などにより、飛躍的な成長が期待される企業の株式を選別します。その後、業界動向、投資環境等を勘案し、バリュエーションを重視してポートフォリオは構築されていきます。
時価総額が中小型規模の株式が投資対象ですが、成長株と言うと新興市場銘柄が思い浮かびますが、新興市場だけではなく、東証1部や2部などの老舗企業でも、事業改革などが優れていれば、投資対象となる予定です。
まだ運用が開始されて間もないことからマンスリーレポート等は作成されていません。愛称の「スモール・モンスターズ・ジャパン」は大化け株の発掘を含む意味を込めているようですから、どんな銘柄を組入れるのか、また、どんな運用成績を上げてくれるのか期待を込めてウォッチしていくことにしましょう。