犯罪ならば話題にならないという矛盾
何より、民放各局でこれほど事件を引っ張ってきた最大の理由は、これが現時点で犯罪事件になってない点にあります。一般的にワイドショーで犯罪を取り上げる場合は、細心の注意が払われます。逮捕されたとしても、あくまでも容疑者であって、報道機関が犯行を断定することは許されないからです。佐村河内氏の場合は、犯罪ではないからこそ、逆に厳しく追及できるという不思議な逆転現象が起きています。これと全く同じ経緯で報じられてきたのが、いわゆる「食品偽装問題」です。犯罪未満の事件ほど、詳細なリポートがなされてるように思えるのは、ただの考えすぎなんでしょうか。
余談になりますが、ニュースでよく聞く「容疑が固まる」という表現、おかしいと思いませんか? どれだけ証拠が出ようが、重要証言が得られようが、容疑は容疑のままで、固くなったり柔らかくなったりするもんじゃない筈ですが。
結局は「笑いの線引き」という難問に突き当たる
最後、まとめさせていただきます。ただでさえ、お笑いの世界は以前より規制がきつくなっている中で、いっそうの締め付けになるようなことは、あまり言いたくはないのですが……。それでも、私人を個人攻撃して笑いを取ることが、許されることなのかどうか、当ガイドにはよく分かりません。それが犯罪未満のことであればなおさらなんじゃないでしょうか。じゃあ、二度にわたって同じネタで記事を書いてるお前はどうなんだ? と言われたら、同罪を認めるしかないですが、内心では「この前のと今ので、プラマイゼロ」という逃げ道も考えてたりします(苦笑)。
この事についての良し悪しは、とても簡単に結論付けられるものではないでしょうが、こういう見方があるということだけでも、理解していただければ有り難いです。