運動と健康/準備運動・基本のストレッチ

久しぶりの運動再開で失敗しないために

【アスレティックトレーナーが解説】学生時代の運動経験や、かつての運動習慣で自信があっても、運動再開時には注意が必要。忙しさや季節を理由にしばらく運動から遠ざかっていると、急な運動の再開で思わぬケガやトラブルが起きてしまうことがあります。久しぶりに運動するときの注意点を押さえて、安全に運動を楽しみましょう。

西村 典子

執筆者:西村 典子

アスレティックトレーナー / 運動と健康ガイド

久しぶりの運動再開なら、筋肉痛対策は必須!

運動で足が痛い

「昔はやっていたから」という過信は禁物! 久しぶりの運動再開時の注意点とは?


しばらく体を動かしていなかった人が運動を始めると、ほとんどの場合で筋肉痛が起こります。運動で筋肉を動かすと、筋繊維に細かなキズ(微細損傷)ができ、それを回復させるために様々な化学物質が筋繊維に作用するのですが、その一つの反応として痛みを伴うことがあるためです。

運動して筋肉を鍛えることは筋繊維を太くすることであり、筋力アップには欠かせない過程ではあるのですが、運動の翌日などに筋肉痛が起こってしまうと、運動に尻込みしてしまう原因にもなりかねません。

こうした筋肉痛を多少なりとも和らげるためには、運動後のクールダウンは大切。使った部位を中心にストレッチを入念に行ったり、お風呂で軽く筋肉をほぐしたりして、筋肉痛を軽減できるように工夫しましょう。運動直後から痛みがある場合は筋繊維を痛めている可能性がありますので、氷などを使ってアイシングを行うとよいでしょう。詳しくは「筋肉痛を克服!予防と対処法教えます」をご覧管さ宇。
 

「学生時代はアスリート」でもブランクがあるなら軽めの運動から

テニス

昔の感覚と体のギャップを考慮しよう

学生時代にスポーツなどで体を鍛えていた人でも、急激に以前と同じ運動を再開すると、ケガをしてしまったり、思うように体が動かなかったりといったことが起こります。

これは頭の中では「スポーツをやっていた頃のよく動く体」の感覚を持っているのに、実際の体は運動をしなかった時期が長く続いた結果、昔と同じような動作はできないというギャップから起こると考えられています。例えば、速く走るつもりなのに、足が全くついてこないような場合、必死になって足を動かそうとして、太ももの筋肉を痛めてしまうといったパターンは珍しくありません。

こうしたケガを予防するためには、以前と同じ運動を行うときでも、まずは運動量や運動負荷を軽めに設定して再開するのがよいでしょう。しばらくブランクがあるときは、一度軽めの運動から始めるようにして、自分の持つ運動感覚と実際の体の動きのギャップを大きく広げないように、段階を踏んで調整していくことが大切です。
 

ランニングブームで負傷も……急な大会参加のリスクと注意点

ランニング

無計画な大会参加はケガのもと

今や国内外問わずさまざまな場所でマラソン大会が行われるほど、ランニング指向は高まりつつあります。毎年2月に行われる東京マラソンも、現在ではビッグイベントです。こうしたランニングブームに触発されて、「走ってみようかな」とチャレンジする人も増えているようですが、急なチャレンジでリタイアしないよう、入念に準備を行ってから参加するようにしましょう。

マラソン大会のサポートを担当していると、「膝が痛い」「足が痛い」といって救護室を訪れる選手にあいます。事前に十分な練習を積んでいないと筋力不足や柔軟性の低下によって、簡単にケガをしてしまうことも。ブームに乗ってランニングを始めても、ケガをしてしまえば運動のメリットも半減どころか、走らなきゃよかった……なんてことにもなりかねません。しっかりと計画を立てて十分な練習を積んでから、大会に臨むことを心がけましょう。

運動をする前のウォームアップが欠かせないように、しばらくぶりに運動を再開する場合は、より時間をかけて体と心を準備していく必要があります。大きなギャップをそのままにしておくのはケガのもと。これから始める運動にぜひ役立ててくださいね。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます