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日本初の太陽熱利用戸別給湯ライオンズ練馬レジデンス

日本初の太陽熱利用戸別給湯システムを採用したライオンズ練馬レジデンスが竣工しました。隣接街区が第1種低層住居専用地域で、将来的にも陽を遮る可能性が低く、低層住宅で屋上がフラットであることから1住戸にパネル2枚の集熱器を屋上に設置し、太陽熱エネルギーで水を温めます。その実際を紹介します。

岡本 郁雄

執筆者:岡本 郁雄

マンショントレンド情報ガイド

太陽熱利用ガス温水システムを戸別にマンション初採用
低層住宅街の立地を活かした秀逸なプランニングのライオンズ練馬レジデンスが竣工

竣工したライオンズ練馬レジデンス

竣工したライオンズ練馬レジデンス

昨年の2月に当サイトでも紹介した、ライオンズ練馬レジデンス(大京)が竣工しました。低層の住宅が建ち並ぶ住宅街に立地。日本で初めて太陽熱利用ガス温水システム(SOLAMO)を戸別に採用したプロジェクトです。環境負荷の軽減や省エネルギーが喫緊の課題として認知される中、経済産業省(再生可能エネルギー熱利用加速化支援事業)、東京都環境公社(集合住宅等太陽熱導入促進事業)の補助も受けて採用されたシステム。実際の建物で、どういう仕組みかを紹介します。
敷地中央部の1階には、水盤を設置。気流をつくり温熱化をふせぐ

敷地中央部の1階には、水盤を設置。気流をつくり温熱化をふせぐ

ライオンズ練馬レジデンスは、低層4階建ての全61邸です。1階から屋上までは約12m。熱伝導性の高い熱媒プロピレングリコールを集熱パネルで太陽光によって暖め集熱循環ポンプによって貯湯ユニットの貯湯タンクへ循環させることで、給湯する水を熱源機エコジョーズで温める前に一定の温度まで上昇させます。
太陽熱利用ガス温水システム「SORAMO」のしくみ

太陽熱利用ガス温水システム「SOLAMO」のしくみ 供給元は、東京ガス


低層4階建てであることで効率的に熱が循環できるようです。太陽熱エネルギーの変換効率は、40%~60%とのことで、太陽光発電などの太陽光エネルギーの変換効率がおおよそ10%~20%に対し、効率性が高いのが特徴です。
SORAMOも貯湯ユニット

貯湯タンクに熱交換器によって太陽熱を伝達 温かくなった湯を補助熱源機エコジョーズで温める

今までもセントラル給湯方式のものやバルコニー設置型はありましたが、外観に影響を与えない屋上でかつ戸別に採用したのは、初めてとのことです。
 

3人家族の場合給湯使用量の約25%を太陽熱でまかなう
「エコジョーズ」の効果を合わせるとCO2排出量を約37%削減

屋上の集熱ユニット

屋上の集熱ユニット

屋上には、メンテナンスしやすいように階段で上がれます。パネル2枚のユニットがそれぞれの住戸に割り当てられています。セントラル方式と比べ、シンプルな造りで、故障した際なども個別で修補できるのもメリットです。
集熱器

集熱器。ここで集められた熱が貯湯ユニットに送られる。夏場は約90℃ぐらい、冬でも50℃ぐらいにはなるとのこと

このシステムによって、3人家族想定で給湯使用量の約25%を太陽熱でまかなえるそうです。高効率給湯器「エコジョーズ」の採用とあわせて、約37%のCO2の削減が可能となります。専有部のディスプレイでは、CO2削減量を日、週、月ごとに確認ができます。
SORAMOのディスプレイ

SOLAMOのディスプレイ

ガスで追いだきせずとも温かいお湯に関しては、例えば食器洗いなどにそのまま使用できます。また、お風呂のお湯を太陽熱のみで追いだきできるソーラー追いだき機能やふろの湯の熱を回収するふろ熱回収機能などエネルギーを効率的に使う機能が備わっています。

マンションでは、多様な用途に利用できる太陽光発電のマンションが主流ですが、低層マンションでは、こうした太陽熱利用のシステムも魅力的だと感じました。エネルギーコストが上昇する中、省エネ・創エネの動きは多様化していますが、マンションへのこうした新たな取り組みに注目していきたいと思います。




 
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