消費量は減少? だし昆布の実態

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天満大阪昆布 社長 
喜多條 清光さん
(画像提供/天満大阪昆布)

四方を海に囲まれた日本は、昔から海藻とはなじみが深く、縄文時代には食べられていたと考えられています。食用はもちろん儀式にも使われる特別な存在。また、昆布でだしをとる食文化は世界でも珍しいものです。

世界中から和食が注目されているとはいえ、私たちは、きちんと昆布からだしをとっている人は、だんだん減っているのではないでしょうか。

南 「日本人の食事は豊かでバリエーションが広いため、和食を作る機会も昔よりは減っています。今の昆布の消費はどんな状況なのでしょうか?」

喜多條 「私の家は戦後、昆布問屋を創業したのですが、私が家業をついだ頃は、だんだん昆布の消費量が減ってきた頃でした。戦前で8万トンあった昆布の消費量は、その頃3万トン。生産量は2011年には1万5千トンで、2013年にはとうとう1万5千トンを切ってしまいました。

こうした状況を憂慮した日本昆布協会が、2011年に「だし昆布を買わない理由」などについてアンケート調査を実施したところ、次のような3点の問題が見えてきました。
  • だし昆布の扱いが難しい
  • 和食を作らない
  • 昆布だしのだしがらがもったいない
このままでは、昆布業界がなりたたなくなるだけでなく、昆布だしの文化が消えて行くのではないかという不安が大きくなりました。」

細く切ることで旨味がアップする昆布。減塩にも効果的

南 「アンケートの結果で見えた問題点をクリアすることを考えた結果、誕生したのが昆布水なんですね。」

喜多條 「プロが作る一番だしは、本当にすばらしいもので、 私も大好きです。しかしその作り方は、プロならではの見極めや手間ひまがかかるもので、そこに価値もあります。忙しい現代人には毎日実践するのは難しいことですし、無理にプロのまねをする必要もありません。

日々の中で誰もが手軽に使えて、料理がおいしくなるように昆布を生かせないかと試行錯誤した結果、昆布を細く切ることを考えました。こうすることで大きいままでだしをひくよりも、37%、つまり4割近くもアミノ酸が増えることがわかりました。

しかも昆布水はほとんど塩分がなく、また旨味がしっかりしていれば、糖分や脂肪分が少なくても、おいしく満足感が得られて、エネルギーの摂り過ぎを抑え健康面でも役立ちます。」

南 「しっかりと旨味はありますが、鰹節のような香りの強い旨味とはまた違う、奥ゆかしい旨味ですね。」

喜多條 「昆布水は、インパクトがあるようなおいしさではないところもよい点です。バレーボールでいうなら、アタッカーではなく、トスを上げて主役の素材を生かす存在です。だからこそ和食だけでなく、和洋中を問わず幅広い料理に使えるのです。

昆布水はもちろん、捨てるのがもっいたいというご意見も反映しただしがら昆布も含めて、活用レシピも書籍等でたくさん発表しました。」

南 「著書の『昆布水のごちそうレシピ12ヵ月』等では、和食やイタリアン、フレンチ、エスニック料理など、幅広いレシピが紹介されていますね。

私も、だしがらはよく佃煮にするのですが、毎日できるので飽きてしまいます。しかし、昆布水のだしがらは細く切ることで、格段に使いやすくなりますね。著書ではだしがら昆布のオリーブオイル漬けなど、ユニークで作ってみたい常備菜レシピがたくさんあり、実用的で参考になりました。」

昆布で「UMAMI」を世界に発信

南 「喜多條さんは、調理師免許やふぐ免許までお持ちで、和食に限らずイタリアンやフレンチ、またスイーツ等、幅広い料理を提案できる昆布屋さんとして、日本の各地で料理講習会等を通じて「昆布水」の使い方を紹介されています。また近年は海外にも行かれています。欧米の方に、昆布はどううけとめられているのでしょうか。

喜多條 「ニューヨークや韓国などからも、昆布水や『UMAMI』*について教えてほしいというオファーがくるので、出向いています。彼らは、和食の素材だから、海藻だからという捉え方ではなく、あくまで『UMAMI』として捉えています。

こんな使い方もできるのでは?と彼らから刺激をもらうこともあり、このままでは、日本の方が『UMAMI』の後進国になってしまう日もくるのではないだろうか、不安に思うほどです。

私は、60歳を超えて後の人生は、自分の商売のためというよりも、昆布の裾野を広げることが使命だと思っています。」

一人でも多くの方に、昆布のある食生活をもっとカジュアルに楽しんでもらいたいと、喜多條さんは、毎日のように仕事のランチタイムに昆布水を使った料理や、だしがら昆布を活用した料理を作ってFacebookなどで情報発信、書籍の執筆や講演等と、勢力的に活動されています。

和食に限らず日本の伝統文化の中には、私たちがそれらを理解し、また次の世代に受け継いでいくためには、古いままのスタイルでは受け継ぐことが難しいモノ・コトがあります。温故知新の精神で磨き上げた、喜多條さんの昆布水は、和食に限らず、こうしたモノ・コトの受け継ぎ方のヒントにもなるのではないでしょうか。

喜多條さんの著書は、新刊に『魔法のこんぶ水』、他に昆布水やだしがら昆布を活用したレシピ本には、『大阪天神橋 昆布問屋の 昆布水レシピ』、『塩分半分でも おいしい! 昆布水の減塩レシピ』など多数。

*「UMAMI」は、2015年5月1日付けで、天満大阪昆布の商標登録と認められました。

amazon.co.jp/昆布水のごちそうレシピ12カ月-喜多條-清光/dp/4040661419/ref=sr_1_5

※ 昆布水を作る時に昆布を切るのが面倒という方には、天満大阪昆布が1~2mmに刻んだ昆布「昆布革命」を販売されています。詳しくは、昆布革命をご覧ください。

天満のおいしい食卓 天満大阪昆布
昆布革命
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