エンガディン地方の観光業の発展に貢献したアルブラ線

グラウビュンデン州の町トゥージスと、世界的に有名な山岳リゾート地、サン・モリッツの67kmを結ぶのがアルブラ線です。

アルブラ線の着工は1898年。サン・モリッツまで開通したのが1904年です。当時エンガディン地方が観光地として注目されはじめた時期で、サン・モリッツもウィンターリゾートとして発展途上にありました。

しかしチューリッヒやクール方面からエンガディン地方へ入るには、当時は徒歩や馬車しか手段がなく、特に冬場の山道を通行するのは大きな危険が伴いました。そこで年間を通してエンガディン地方へのアクセスを確保するために建設されたのがアルブラ線だったのです。

42のトンネルと144の橋を走り抜けるアルブラ線は、当時の鉄道技術の最高傑作と言われ、エンガディン地方の観光産業の発展に大きく貢献したのです。


アルブラ線の見所その1~ランドヴァッサー橋

ランドヴァッサー橋

アルブラ線のハイライト、ランドヴァッサー橋 画像提供:スイス政府観光局www.myswiss.jp

氷河特急のハイライトとして、数多くの写真やポスターなどに登場するのが、ランドヴァッサー橋。高さ65m、長さ約140mの石でできた橋で、ティーフェンカステルとフィリズールの駅の間にあります。

湾曲したループ状の橋で、サン・モリッツ方面へ向かう列車の場合、橋を渡った車両はすぐにトンネルの中に吸い込まれていきます。ティーフェンカステルの駅を出てしばらくすると、進行方向右手前方に橋が見えてくるので、シャッターチャンスを逃さないようにしましょう(反対方向の列車の場合は、フィリズールの駅を出て最初のトンネルを出たら、もうそこが橋の上です。進行方向左手に注目!)。

 

ランドヴァッサー橋

ランドヴァッサー橋でのシャッターチャンスは一瞬 画像提供:スイス政府観光局www.myswiss.jp

ランドヴァッサー橋は、1901年から1902年にかけての間、わずか20ヶ月で完成しました。アルプスの自然石など建築材料が山深くまで運ばれましたが、現場は当時の建築技術では困難なほどの高さでした。トンネルの出口も断崖絶壁になっています。工事用の足場を組むことさえできなかったため、橋を支える石の柱の間を資材運搬用の鉄柱で結び、少しずつ石を積み上げていったのです。

こうして完成した橋は現在一日60本以上の列車が行き交い、グラウビュンデン州の主要幹線として地域経済に必要不可欠な路線になっています。

 

アルブラ線の見所その2~ループトンネル

アルブラ線ループトンネル

アルブラ線ループトンネルのイメージ図

ランドヴァッサー橋に次ぐアルブラ線の見どころが、ベルギューン駅とプレダ駅の間にある5つのループトンネルです。ループトンネルとは、急勾配をかせぐため、円を描くように線路が敷かれたトンネルのこと。

鉄道は急勾配に弱く、山間部に鉄道を敷設する際はなるべく急勾配を避けて自然の地形を上手く利用することになります。そこで勾配を緩和する有効な方法としてループ線が当時よく採用されていました。

 

冬のそりコース

ベルギュンとプレダの一区間にある冬のそりコース 画像提供:スイス政府観光局www.myswiss.jp

ベルギューンとプレダ間の標高差は417m。この標高差を克服するため、5つものループトンネルが必要だったのです。直線距離にしてわずか6.5kmほどの区間ながら、線路の距離は12kmになっています。わずかの時間の間に目まぐるしく進行方向が変わるこの区間は、スイスが誇る鉄道技術を体感できるアルブラ線のハイライトのひとつ!