スイス

ユングフラウヨッホ徹底ガイド!服装や行き方

日本人観光客にとってスイスの中で人気の1、2位を争うのがユングフラウ地方。その中でも世界一標高が高い鉄道駅があるユングフラウヨッホは、「トップ・オブ・ヨーロッパ」の愛称で親しまれています。毎年のように新しい施設が加わり、古くて新しい観光地として不動の人気を誇るユングフラウヨッホ。ここではその魅力を余すとことなくご紹介します。

和田 憲明

執筆者:和田 憲明

スイスガイド

人気の格好スポット、ユングフラウヨッホ

ユングフラウヨッホ全景

スフィンクス展望台をはじめ、さまざまなアトラクションを擁するユングフラウヨッホ (c)jungfrau.ch

スイスを代表する人気観光地と言えば、まずユングフラウ地方の名があがります。アイガー、メンヒ、ユングフラウの三山が美しく肩を並べる麓に、インターラーケン、グリンデルワルト、ヴェンゲンなどの山岳リゾートが点在。登山電車やケーブルを利用して、アルプスの絶景ポイントまで簡単に上がることができます。

ユングフラウ地方には合計10ヶ所ほどの展望ポイントがありますが、その中で不動の人気を誇るのがユングフラウヨッホ。標3571メートルの展望台をはじめ、アイスパレスやスノーファンパークなど数々のアトラクションとレストランを備えており、年間を通して世界各国からの観光客が訪れます。

ユングフラウヨッホまではインターラーケンやグリンデルワルトなどから登山電車を乗り継いで上がります。ユングフラウヨッホ駅の標高は3454メートル。ヨーロッパで一番標高が高い鉄道駅で、「トップ・オブ・ヨーロッパ」とも呼ばれています。

年々増え続ける観光客を迎えるため、毎年のように新たな設備やアトラクションが加わり、常に進化を続けるユングフラウヨッホ。ここではここでの楽しみ方をはじめ、アクセス、気になる費用、そして観光に際しての注意点などをまとめました。

<目次>  

ユングフラウヨッホの名前の由来

ユングフラウ

インターラーケンから望む優美なユングフラウ

さて、ユングフラウヨッホの名前ですが、どのような由来があるのでしょうか?

まずユングフラウヨッホの「ユングフラウ」はドイツ語で「少女」、「乙女」といった意味がありますが、中世に麓の村、インターラーケンにあった女子修道院に由来するという説が有力です。当時ユングフラウの麓一帯の土地は女子修道院が所有していたことから、背後の山に「ユングフラウ」の名前が付けられました。

そして「ヨッホ」は、山の頂上近くで肩のようにやや平になっている部分を指します。ユングフラウ地方のパノラマ地図を見ると、ユングフラウの肩に相当する部分にユングフラウヨッホがあるのが確認できるはずです。
 

ユングフラウヨッホの楽しみ方(基本編)

1. スフィンクス展望台
スフィンクステラス

周辺の山の名前は案内板で確認できる  (c)jungfrau.ch

ユングフラウヨッホの駅に着いたら、まずスフィンクス展望台へ向かいましょう。高速エレベーターに乗って、標高3571メートルまで上がります。展望テラスから見る山岳景観は、圧巻のひとこと。総延長23キロ、スイス最長のアレッチ氷河が、うねるようなカーブを描きながら視界のかなたまで続きます。

展望テラスにあるドームの建物は、もともと天文学研究のために建てられもの。現在は天文観測としての役割を終え、高地山岳研究所としてさまざまな科学研究が行われています。

2. アイス・パレス(氷の宮殿)
アイスパレス

1930年代に山岳ガイドがピッケルやのこぎりで氷河を掘って原型ができた  (c)jungfrau.ch

氷河の中に作られた洞窟で、さまざまな氷の彫像を見ながら回遊することができます。光に照らされた洞窟の中は、静寂が支配する神秘的な雰囲気。迷宮の中に入りこんだような錯覚を覚えます。もちろん巡回路に従って進んでいけば本当に迷うことはないので、どうぞご安心を! 洞窟の中は観光客の体温による室温の上昇を防ぐため、特殊な空調システムで洞窟の中は常にマイナス3度の気温が保たれています。

スフィンクス展望台とアイス・パレスを結ぶ通路には、ユングフラウ地方の観光産業の歴史やユングフラウ鉄道の足跡などを展示。長い通路を退屈することなく、移動できる演出が凝らされています。

3. プラトー(氷河の高原)
プラトー

雪原にはためくスイス国旗がプラトーのシンボル  (c)jungfrau.ch

アイス・パレスを訪れた後は、雪上散歩を楽しみながら実際の雪に触れてみましょう。案内板に従って巡回路から屋外に出ると、一面雪と氷の世界。ユングフラウやメンヒの山頂が、手に届きそうな位置に迫ります。雪が降らない暑い国からやって来た観光客は、大喜びで雪合戦に興じています。雪が眩しいので、サングラスをお忘れなく。

4. ランチとショッピング
ユングフラウヨッホのレストラン

時間の余裕がない場合はセルフサービスレストランがおすすめ  (c)jungfrau.ch

せっかくならユングフラウヨッホでランチも楽しみたいもの。アラカルトメニューを用意した通常のレストランに加え、手軽なセルフサービスのレストランやカフェバーもあります。アルコール類も置いていますが、標高が高いと酔いがまわりやすいので飲み過ぎには注意しましょう。

ユングフラウヨッホには、アーミーナイフで有名なヴィクトリーノックスをはじめとするお土産店に加え、有名チョコレートメーカー、リンツのショップ「リンツ・チョコレート・ヘブン」があります。帰りの登山電車の待ち時間も利用して、立ち寄ってみたいものです。
 

ユングフラウヨッホの楽しみ方(ステップアップ編)

1. スノーファンパーク
スノーファンパーク

思う存分雪を楽しむ仕掛けに満ちたスノーファンパーク  (c)jungfrau.ch

アレッチ氷河の上に整備されたスノーパークです。スキーやスノーボードをはじめ、そり遊び、大きなタイヤに乗って雪上を滑るスノーチューブ、氷河の上に張ったワイヤロープにぶら下がりながら空中飛行を楽しむ「ジップ・ライン」などを楽しむことができます。特に子供連れのファミリー人気ですが、大人だけでも十分楽しむことができます。

・オープンは5月上旬~10月中旬の11時~17時
・悪天候時は一部または全面的に閉鎖になる場合があります。
・各アトラクションの用具のレンタルは、利用料金の中に含まれています。

スノーファンパークの詳細:ユングフラウ鉄道ホームページ(英語)

2. メンヒスヨッホヒュッテ往復雪上ハイク
メンヒスヨッホヒュッテ

ユングフラウ、メンヒなどが手に届きそうなヒュッテからの眺め  (c)jungfrau.ch

ユングフラウヨッホからメンヒの稜線に位置する山小屋、メンヒスヨッホヒュッテまで雪上ハイキングはいかがでしょうか?メンヒスヨッホヒュッテの標高は3650メートル。管理人が常駐する山小屋として、スイスで最も高い山小屋になります。

ユングフラウヨッホから片道約45分。小屋での休憩を含め、往復で2時間ほどみておきましょう。アイゼンなど特別な装備は必要ありませんが、防寒着、ハイキングシューズ、サングラス、日焼け止めクリームは必携です。コースは整備されていますが、悪天候時は避けましょう。

注)小屋のオープンは例年3月中旬~10月中旬。

メンヒスヨッホヒュッテ往復雪上ハイクの詳細:ユングフラウ鉄道ホームページ(英語)

3. アレッチ氷河トレッキング(現地発ツアー)
アレッチ氷河

世界遺産、アレッチ氷河に抱かれて2日間のトレッキングを楽しむ  (c)jungfrau.ch

スイス最長のアレッチ氷河の上を、山岳ガイドと一緒に歩く2日間のトレッキングツアーに現地で参加することもできます。登山の経験がなくても、健脚で高所恐怖症でなければ参加可能です。

初日はユングフラウヨッホを午前に出発。ガイドを先頭にザイルでお互いを結び、ルート途中にあるコンコルディア・ヒュッテを目指します。ヒュッテに宿泊した後、2日目はゴールのフィーシャーアルプを目指して歩きます。

<歩行時間>
1日目は約4時間、2日目は約6時間。

<料金>
ガイドと山小屋の宿泊(朝・夕食付き)のみで、CHF 335.- (2018年料金)。宿泊地からユングフラウヨッホまで、フィーシャーアルプから宿泊地までの交通費は別途。

<参加人数>
ガイド一人につき、5人~8人。

その他、装備などの詳細はグリンデルワルト・スポーツ(英語)

4. アイガーウォーク
アイガーウォーク

コースに沿って木製の標識が整備されている  (c)jungfrau.ch

もう少し手軽に歩けるコースが良いという方には、アイガーウォークがお勧めです。アイガーグレッチャー駅からクライネ・シャイデック駅まで約一時間のコースで、ハイキングシューズを履いていれば、誰でも簡単に歩くことができます。ユングフラウヨッホから戻る途中に組み合わせると良いでしょう。

アイガーグレッチャー駅からクライネ・シャイデック駅の区間、ほとんどの乗客は登山電車に乗ったまま下りていきますが、時間が許せばぜひ歩いてみたいもの。ユングフラウやアイガーなどの名峰が圧倒的な迫力で眼前に迫り、夏は色とりどりの高山植物が咲き誇ります。コースの途中にあるファルボーデンゼーは、逆さアイガーが映る山上湖。絶好の休憩ポイントになっています。
 

ユングフラウ鉄道の足跡

ユングフラウ鉄道の工事

アイガーグレッチャー駅から終点のユングフラウヨッホ駅まで7kmのトンネルが続く  (c)jungfrau.ch

ユングフラウヨッホまで鉄道が開通したのは、1912年と今から100年以上も前のこと。日本では明治から大正に移った時代になります。当時スイスでは観光業の発達とともに各地で登山鉄道が敷設され、ユングフラウ地方でもラウターブルンネンの谷からユングフラウ山頂までケーブルで結ぶといったアイデアが出されていました。

そして実現化に向けて動き出したのが、ユングフラウ鉄道の創案者となるアドルフ・グイヤー・ツェラーの案で、クライネ・シャイデックからアイガーとメンヒの中をトンネルでくり抜き、ユングフラウ山頂まで鉄道を通すというものです。今ではおおぜいの観光客が当たり前のように利用する路線ですが、当時としては誰も思いつかないような斬新なアイデアでした。

敷設工事がはじまったのは1896年。シャベルやピッケルを使い、手作業で工事がすすめられました。1899年、ツェラーは肺炎のため亡くなりますが、工事はその遺志を継ぐ人々に引き継がれます。そして当初ユングフラウ山頂まで鉄道を通す計画は、財政上の理由などでユングフラウヨッホまでになりました。

トンネル内での事故、ストライキ、財政難による工事の中断など数々の困難を乗り越え、1912年、ついにヨーロッパ最高地点の駅、ユングフラウヨッホまでの全線が開通したのです。工事期間は当初7年の予定から16年にも及びました。
 

世界遺産、スイスアルプス ユングフラウ – アレッチ

世界遺産、ユングフラウ

世界自然遺産としての登録は2001年で、2007年に登録エリアが拡張された  (c)jungfrau.ch

ユングフラウヨッホを含む周辺の山岳地帯は、世界遺産に登録されています。登録名は「スイスアルプス ユングフラウ – アレッチ」。

スイス最大・最長の氷河を擁する山岳景観に加え、温暖化による氷河の後退に伴う生態系の変化がこの地域では顕著に認められること、ヨーロッパの芸術や文学、アルピニズムの発展の過程でこの地域が果たしてきた役割などが評価され、世界遺産の登録につながりました。
 

ユングフラウヨッホへのアクセス

ユングフラウ鉄道

夏の間、沿線には色とりどりの花が咲き誇る  (c)jungfrau.ch

ユングフラウヨッホへは、ユングフラウ鉄道が運行する登山電車を利用します。登山口となる町がインターラーケン。インターラーケンにはインターラーケン・オスト(東駅)とインターラーケン・ヴェスト(西駅)と2つの駅があり、登山電車はオスト(東駅)から出ます。

インターラーケンを出た電車は途中で左右に分かれ、グリンデルワルトとラウターブルンネンに向かいます。グリンデルワルトまたはラウターブルンネンで別の登山電車に乗り換え、どちらも同じクライネ・シャイデックに到着。クライネ・シャイデックでさらに別の登山電車に乗り換えてユングフラウヨッホに向かいます。

インターラーケンからユングフラウヨッホの往復切符を買うと、例えば往路グリンデルワルト、復路ラウターブルンネン経由、またはその逆など、ユングフラウ地方をぐるりと周遊することができます。

クライネ・シャイデックを出た電車は、5分でアイガーグレッチャー駅に到着。そこから先はアイガーの山中をくり抜くトンネルに入ります。車窓からの景観は消えますが、ユングフラウヨッホに着くまでのお楽しみにとっておきましょう。ユングフラウヨッホまで途中アイスメーアの駅で数分間の停車があり、巨大な窓から壮大な景観を楽しむことができます。

インターラーケンからユングフラウヨッホまで途中2ヶ所の乗り換え時間を含めて片道2時間。ユングフラウヨッホでのアトラクションやランチを含め、インターラーケンからほぼ一日の観光コースとなります。宿泊は途中のグリンデルワルト、ラウターブルンネン、ヴェンゲンでも可能です。
 

登山電車の料金と割引パス

乗換駅、クライネ・シャイデック

乗り換えのクライネ・シャイデックでのランチもおすすめ  (c)jungfrau.ch

次に気になる登山電車の料金をチェックしましょう。

インターラーケンからユングフラウヨッホの往復料金は、CHF 210.80 (インターラーケン~グリンデルワルト/ラウターブルンネン間2等)。日本円にして2万4000円くらいになります(2018年現在)。

ヨーロッパで最高地点の鉄道駅だけに料金も決して安くはありませんが、割引パスを利用して少しでもお得に移動したいものです。

※2018年7月時点の料金とレートで試算しています。
※パスやカードの購入費用は別途となります。

その1)スイストラベルパス
スイス全土に有効路線が広がるスイストラベルパス。ユングフラウ地方では、インターラーケン~グリンデルワルト間、インターラーケン~ヴェンゲン間が無料。グリンデルワルト~ユングフラウヨッホ間、ヴェンゲン~ユングフラウヨッホ間が25%の割引きとなります。スイストラベルパスを持っていれば、インターラーケン~ユングフラウヨッホ往復が約1万6400円になります。購入は取扱い旅行会社にて。

その2)スイスハーフフェアカード
ハーフフェアとは半額の意味。このカードを持っていれば、インターラーケン~ユングフラウヨッホ間の全線が半額、日本円にして約1万2000円になります。購入は取扱い旅行会社にて。

その3)ユングフラウ・トラベルパス
3日間から8日間まで、滞在日数に応じて選べる地域限定パスで、フィルスト、メンリッヒェン、シーニゲプラッテなどユングフラウ地方の多くの山岳交通機関が無料になる他、アイガーグレッチャー駅~ユングフラウヨッホ間が50%の割引き、日本円で約8,500円の割引きになります。利用可能期間5月上旬~10月中旬。

購入は取扱い旅行会社またはユングフラウ鉄道のサイト(英語)にて。

その4)ユングフラウVIPパス
3日間のパスで、フィルスト、シーニゲプラッテなどの他、クライネ・シャイデック~ユングフラウヨッホ間の1往復も利用できます。利用可能期間5月上旬~10月中旬。購入は取扱い旅行会社にて。

その5)グッドモーニング・チケット
クライネ・シャイデック発8時00分と8時30分は割安な料金が設定されています。割引率は時期によって異り、金額はユングフラウ鉄道のサイト(英語)でチェックできます。

朝早いのは苦にならないという人はご検討ください。発売期間は5月上旬から10月中旬まで。遅くともユングフラウヨッホ発13時13分の電車で戻る必要があります。
 

座席の予約

ユングフラウ鉄道

車内では日本語を含めた多言語での案内アナウンスも  (c)jungfrau.ch

年々増え続ける観光客に対応するため、クライネ・シャイデック~ユングフラウヨッホ間は個人でも予約が可能になっています。特に夏のハイシーズンは混雑のため、乗車時、簡単に席が見つからないこともあります。余裕のあるスケジュールで、1本くらい後の電車でもOKといった場合ならまだしも、確実に予定の電車に乗りたい場合は予約があった方が無難でしょう。

予約は乗車日の2日前までにユングフラウ鉄道のサイト(英語)、または現地の駅にて。予約料金(往復)は一人CHF 10.-。10人以上のグループは必ず予約が必要です。
 

服装と高山病対策

ユングフラウ

高山病になりやすいかは個人差があるが、高齢者、子供、貧血気味の人はより注意が必要

ユングフラウヨッホの年間平均気温は-7.9度。屋外は夏でも雪と氷の世界です。長袖シャツの上にセーター、フリース、ウィンドヤッケなど着脱しやすい数枚を重ね着しましょう。サングラスは必携。手袋もあった方が良いでしょう。

標高3500メートルほどの高地だけに高山病も心配ですが、以下にその対策をまとめました。
  • 前日はしっかり寝る。
  • 登山電車を降りたら、なるべくゆっくり歩く。走らない。
  • 水をこまめに、いつもより多めに飲む。
  • アルコールをなるべく控える。
もし気分が悪くなった場合は無理をせず、次の電車で下に降りましょう。団体ツアーに参加している場合、他のメンバーに迷惑がかかるからと我慢する人もいますが、遠慮は無用です。なるべく早目に添乗員、またはガイドの方にご相談ください。なお、スイスでは一定の標高を越える展望台には酸素ボンベが用意されているので、万一の場合も安心です。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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