世界遺産にも指定! レーティッシュ鉄道アルブラ線とベルニナ線

レーティッシュ鉄道アルブラ線

世界遺産に登録されているレーティッシュ鉄道アルブラ線 画像提供:スイス政府観光局www.myswiss.jp

スイス東部のグラウビュンデン州をカバーする、スイス最大の私鉄レーティッシュ鉄道。その路線網は400kmに及び、沿線にはサン・モリッツやダヴォスなど世界的に有名な山岳リゾート地があります。

この記事では、2008年に世界遺産に登録されたレーティッシュ鉄道のアルブラ線とベルニナ線に焦点を当てて解説します。

レーティッシュ鉄道アルブラ線/ベルニナ線と周辺の景観

アルブラ線とベルニナ線位置関係

二つの路線はスイス東部、オーストリアやイタリアとの国境に近い

スイスの東の玄関口、チューリッヒからサン・モリッツに向かう時に利用されるルートがアルブラ線です。トゥージス~サン・モリッツ間の67kmを指し、ツェルマットとサン・モリッツを結ぶ有名なグレッシャー・エクスプレス(氷河特急)もこの区間を通過します。

 
ベルニナ線

変化に富んだ景観を楽しめるベルニナ線 画像提供:スイス政府観光局www.myswiss.jp

一方のベルニナ線は、サン・モリッツとイタリアのティラーノを結ぶ路線。標高2307mのベルニナ峠付近を越える路線で、通常の列車に加え、ベルニナ・エクスプレスも運行する人気の路線です。

この二つの鉄道路線は周辺の景観と合わせ、2008年に世界遺産に登録されました。ユネスコの世界遺産リストは、世界中で980ヶ所以上が登録されています(2014年3月現在)。その中で鉄道路線として登録されているのは、他にはオーストリアのゼメリング鉄道、インドの山岳鉄道群とごくわずか。

それではなぜスイスのアルブラ線とベルニナ線は、世界遺産としての「顕著な普遍的価値」があると認められたのでしょうか?

 

スイスが誇る鉄道技術の粋

レーティッシュ鉄道

ループ橋を通過するレーティッシュ鉄道の車両 画像提供:スイス政府観光局  www.myswiss.jp

クールからアルブラ線に入った列車は山岳地帯に入り、標高をどんどん上げていきます。山岳地帯に線路を敷くためには、トンネルを掘り、橋をかけるなどさまざまな技術が求められます。標高差をかせぐためには、時には大きくルートを迂回させる必要も出てきます。

アルブラ線とベルニナ線が完成したのは、1900年代のはじめ。幸い19世紀後半にトンネルの掘削技術が発達し、円を描くように掘るループトンネルの建設が可能になっていました。建設当時の鉄道における技術革新のおかげで、スイスの山深い地域にまで線路が敷くことが可能になりました。

アルブラ線とベルニナ線を合わせた距離は約130km。標高差は1800m以上になります。スイスアルプスの北側と南側を結ぶ重要な路線のひとつとして、地域経済の発展にも大きな役割を果たしています。

 

周辺の景観との調和

アルブラ線沿線風景

沿線には小さな可愛い山村が点在する 画像提供:スイス政府観光局  www.myswiss.jp

時代の最先端を走る鉄道技術に加え、周辺の景観との調和も世界遺産に認定された大きな理由。山岳地帯を走り抜ける鉄道の周辺には、アルプスの山並みや氷河などの自然に加え、小さな可愛いい村が点在しています。

教会を中心に肩を寄せ合うように家々が集まる村と、その周囲に広がる牧草地帯。特に春から初夏にかけて一面に咲く花も、乗客の目を楽しませてくれます。そして沿線の数々の橋、駅舎、信号、トンネルなどの鉄道設備が、周囲の素晴らしい景観とみごとに調和しています。

 

ベルニナ線の駅舎

石造りの重厚な駅舎も世界遺産の一部 画像提供:スイス政府観光局www.myswiss.jp

世界遺産の登録で線路や鉄道の設備は、核心部分を意味する「コアゾーン」に指定されています。その周囲が緩衝地帯に指定され、世界遺産の景観を守るために、新たな建造物が制限されるなど、さまざまな規制が敷かれています。

緩衝地帯は、おおむね線路の両側500~1000mのエリアをカバーしますが、狭い峡谷では150mに狭まったり、視界の開けた場所では5kmに広がったりします。