来日前のザ・フィルハーモニクスにインタビュー!
世界で最も人気のあるオーケストラと言えば、ウィーン・フィル。輝かしく気品ある音色は元旦に中継放送されるニューイヤーコンサートでもお馴染みですよね。そのウィーン・フィルのメンバーを中心に凄腕メンバーを加えて結成されたスーパー・アンサンブルが『ザ・フィルハーモニクス』。ヴァイオリン2人、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、ピアノの7人で、演奏するのは普通のクラシックとはちょっと違うもの。クラシックにジャズ、フォルクローレ、ラテンなど様々な要素をMIXしてアレンジ。さらにそれをウィーン・フィルのサウンドで演奏し、キラキラと輝きながら生き生きした親しみやすい音楽はチケットが即完売するなど、世界的に大人気となっています。2014年6月に待望の正式な来日公演を行うとのことで、リーダーのティボール・コヴァーチさん(ウィーン・フィル 第2ヴァイオリン首席奏者)とティロ・フェヒナーさん(ウィーン・フィル ヴィオラ奏者)にインタビューしました。
■来日公演予定
6/18(水) オリックス劇場(大阪)
6/19(木) 宝山ホール(鹿児島)
6/20(金) 東京芸術劇場 コンサートホール(東京)
6/21(土) 豊田市コンサートホール(愛知)
6/22(日) 久留米石橋文化ホール(福岡)
■曲目予定
ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番
プロコフィエフ:ロミオとジュリエット
ピアソラ:リベルタンゴ
クライスラー:美しきロスマリン
リムスキー=コルサコフ:くまんばちの飛行
チック・コリア:スペイン
他
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ガイド大塚(以下、大):来日公演決定、おめでとうございます! それに先立ち、2013年10月にサントリーホール・フェスティバル2013オープニング・フェスタに参加されましたが、いかがでした?
ティボール・コヴァーチさん(以下、K):びっくりするぐらい素晴らしかったですよ。私たちは新しい音楽の方向性を探りながら作っているわけですが、日本のお客さんは私たちの音楽を気に入ってくれたようでした。
ティロ・フェヒナーさん(以下、F):新しい料理を出す感じに似ていますね。「こういう料理はどうかな?」と出すのですが、それを「おいしい!」と言って食べてくださった。そして「また食べたい」と言ってくださる。そういう感じがして嬉しかったですね。
大:好感触ですね~。結成の経緯を教えてください。
K:2006年、ウィーン・フィルのソロ・コントラバス奏者であるエーデン・ラーツと日本へのツアーでちょうどしゃぶしゃぶを食べていた時のことなのですが(笑)、「クラシックだけではなく、他の種類の音楽も演奏してみたいね」という話になったんです。ウィーン・フィルとしての活動はもちろんしつつ、ソリスト的に室内楽が演奏できないか、さらに、何か新しい方法で、今までにない新しい音楽の方向性を探っていけないかね、と。
そこで考えたのが、いわゆるクラシック音楽よりも広い範囲の音楽をしてみたい、ということと、それらを、私たちならではなウィーン・フィル的なフレージングの付け方などを基礎にしたウィーン・フィルの演奏スタイルでやろう、ということでした。
そして、こうした音楽的な冒険に同意してくれるだろう同僚に声を掛け、情熱的なメンバーによるグループができたのです。
大:仲も良さそうで楽しそうすよね。
K:はい、ウィーン・フィルのメンバーを中心に、元ウィーン国立歌劇場管弦楽団の仲間で現ベルリン・フィルのチェリストであるシュテファン・コンツと、ジプシー音楽の巨匠ラカトシュとも共演を重ねている第2ヴァイオリンのローマンとピアニストのフランティシェクのヤーノシュカ兄弟からなります。ドリームチームですよ。
大:なるほど! ウィーンに伝統的なシュランメル(19世紀後半にウィーンで生まれた民族音楽。弦楽にクラリネットやピアノが加わる)編成でやろう、というわけだったのでもないのですか?
K:はい、シュランメルを前提にしたわけではないです。弦楽五重奏にクラリネットが加わると色々な可能性が広がると思い、この編成になりました。もちろん、シュランメル音楽が演奏できますし、クラリネットは音色が豊かな楽器なので、ジプシー音楽もジャズもできて、さらに弦の音をうまくサポートしてもくれます。
F:そのダニエル・オッテンザマーは世界最高のクラリネット奏者の一人ですから、彼が入ってくれるのならばこれ以上の事はないですよ。
大:本当に豪華なメンバー揃いですね。入りたがる人は他にもいるのでは?
K:ホルンにトランペットにオーボエに歌にと、いろいろな人から「入れてほしい」と言われています。ただ、今のところはちょっといらないかな(笑)。
F:今の状態で美味しいのですから、そこに何かを混ぜたら壊れてしまう、ということもあると思うんですよね(笑)。そこを気をつけていきたいですよね。