ホントに足りてる?あなたの職場のコミュニケーション
生活トレンド研究所の調査によれば、職場のコミュニケーション不足を感じているという自覚のある人は2割強。一見少なそうに見えますが「隠れコミュニケーション不足」は自覚しにくいものなので、この数字はむしろ多いと感じます。コミュニケーションの専門家として企業研修や講演に登壇する際、よく体験してもらうことの一つに「コミュニケーションゲーム」があります。
2人組になって、指示する人とそれにしたがって絵を描く人を決め、伝わり方を体験してもらうというゲームです。駅から自宅までの道のりを口頭で説明してもらい、もう一人がその説明をもとに地図を書くと、思わぬ理解をされていることを目の当たりにします。「伝えたつもり」が、実際には「伝わっていない」……。このギャップを体感してはじめて「隠れコミュニケーション不足」に気づくのです。
仕事の現場でも「もう少し具体的に説明すれば」「もう少し質問して確認しておけば」といったことは日常茶飯事です。ここに気づければいいのですが、実際にはコミュニケーション不足を「能力不足」「相性が悪い」といったことにすり替えがち。これでは事態が悪化するばかりです。
隠れコミュニケーション不足が慢性化すると、
- 指示が明確に伝わっていないだけなのに能力を正当に評価してもらえない
- 実はフォローし合うべき場面なのに助け合いができない
- ちょっとした誤解から人間関係の摩擦が生まれやすくなる
あなたの周りの軋轢も、もしかすると隠れコミュニケーション不足が原因なのかも知れません。
こういった症状を緩和する対策として、自分から積極的に声掛けをする、雑談を増やす、食事を一緒にする、駅までの道のりを一緒に帰る、といった単純なことを積み重ねる方法があります。
ピースを交換し合うことで、図形を作るというゲームを通して、コミュニケーションの機会と助け合いの実験をしたことがあります。相手への感情が助け合いに影響するという仮説を立て、第一印象も事前に数値化していたのですが、この実験でもコミュニケーションの回数が助け合いを創出しやすいという結果になりました。
会社の飲み会というのは代表的なコミュニケーションの機会。「感じの悪かった先輩が、飲み会で話して以来フレンドリーになった」「飲み会に参加してからは、上司に気軽に相談ができるようになった」という声も珍しくありません。
そもそも「なんだか会社の飲み会はイヤだな」という感情も、コミュニケーション不足による相手への偏見から生まれているのかも知れません。
生活トレンド研究所の調査によると、職場でのコミュニケーション量が多いと回答している人ほど「上司/部下と飲みたい」「自分から飲みに誘うことがある」という傾向があります。
うまく振る舞っているつもりでも、相手への「イヤだ」という感情は、表情やしぐさなどの非言語情報として発信されています。自分のことをイヤと感じる相手には、やはり同じ感情を持ちやすくなるので、簡単なことで解決できるのであれば解消したいところです。
自己開示をしやすくなる「飲み」の席というのは、関係改善の機会としても有効です。個人的に誘わなくても同席できる会社の飲み会は、自分の働く環境を改善する恰好のチャンスだと思うのですが、いかがでしょうか。
そうは言っても会社の飲み会はイヤだというあなたに、短時間だけ参加するという方法と、飲み会の断り方についてご紹介します。