消費税以外に、これから上がりそうなもの
■介護保険の公的介護費の自己負担割合の引き上げ年金をはじめとした、社会保障制度の改革も本格化します
■健康保険料・介護保険料
高齢化にともなう、医療費や介護費用の増加から、健康保険料や介護保険料も年々増加傾向にあります。健康保険組合を持たない一般的な企業の従業員が加入する「協会けんぽ」(全国健康保険協会)では、政府の医療費等の予算を踏まえ、健康保険料率や介護保険料率を決定しています。少子高齢化のさらなる進展から、これらの保険料負担もさらに増加することが予想されます。協会けんぽの介護保険料率も平成21年3月の1.19%から平成26年3月の1.72%まで、毎年負担増となっています。なお、保険料は、労使で折半します。
【参考】全国健康保険協会
■国民年金保険料の納付期間延長
現在、国民年金保険料は、満20歳から60歳までの40年間納める(厚生年金に加入した場合は、厚生年金保険料に含まれます)ことになっています。この納付期間を65歳までの45年間にする案が浮上しています。段階的に引き上げる、義務化する、任意で選択できるなど、まだ検討段階に入ったばかりで不明点が多い状況です。会社の定年が今後65歳となるのが一般的になるのに合わせ、自営業者が加入する国民年金についても65歳までの納付に合わせよう、というのでしょう。高齢化による受給者の増加に合わせ、年金の給付水準を引き下げざるを得ない状況から、納付期間を長くすることで、将来の年金受給額を増やしバランスを取るのが狙いと考えられます。いずれにせよ、負担は増加し、実質的な給付は減ることになるでしょう。
■給与所得控除の改訂による所得税
平成25年の所得税から、年収1500万円以上の人の給与所得控除の上限を、一律245万円とする改正が行われ、対象者は増税になりました。さらに、現在検討されている平成26年の税制改正(案)では、所得税の給与所得控除の見直しの対象を、平成28年から年収1200万円以上の者は上限230万円、平成29年から年収1000万円以上の者は上限220万円、とする改正案が盛り込まれています。なお、給与所得控除の見直しは、翌年分からの住民税にも影響を受けます。
■電気料金の更なる値上げ?
東日本大震災以降、電力各社では、電力供給状況によって大幅な経費削減を行うと同時に、電気料金の引き上げを順次行ってきました。北海道電力では、平成25年9月に電気料金の値上げを実施しましたが、赤字解消には至らず、さらなる値上げの検討に入ると公表されました。他社でも同様に、電気料金のさらなる見直しが検討されることが予想されます。
■物価上昇
平成26年2月19日に発表された月例経済報告では、2月の物価判断を「底堅く推移している」から「緩やかに上昇している」に引き上げられました。平成25年12月分の消費者物価指数は、前年同月比総合:1.6%、生鮮食品を除く総合:1.3%、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合:0.7%で、いずれも上昇しています。アベノミクスが目指しているデフレからの脱却まで、もう一歩というところまで来ています。ただし、私たち生活者の視点で見れば、物価の上昇は、生活コストの増加に他なりません。
「生涯可処分所得」が減少し、「生涯生活コスト」は増加する家計
■税と社会保障の一体改革で社会的な負担は増加税や社会保険などの公的な国民負担は、負担増が決まっているもの、これから予定されているものなど、今回取り上げたものだけでも、相当な家計の負担増加が見込まれています。今回の消費税増税は、一連の税と社会保障の一体改革の中で検討されてきたものです。消費税増税だけ少し先行して実施されましたが、社会保険をはじめとした社会保障制度の改革が、これから本格化します。少子高齢化がさらに進展し、人口が減少するという大きな流れの中で、社会保障の充実と負担軽減の両立は困難でしょう。それよりは、制度を維持・改善するために負担が増加する、と考えるのが通常です。
一生涯の家計という視点で考えると、生涯収入は、自分で稼ぐ分は個人の努力によりますが(年収アップを望むのは難しい時代ですが……)、年金をはじめとした公的給付は減少し、税金や社会保険料などの公的負担は増加するため、家計の「生涯可処分所得」は減少するといえるでしょう。
■物価上昇・為替・消費税で生活コストは上昇
家計の生涯可処分所得が減った上で、さらに物価上昇・消費税・為替などのさまざまな要素で、生涯の生活コストは増加していくことも、同時に考えなければなりません。
今は、目前の4月からの消費税増税に目が行きがちですが、その背景にある「生涯可処分所得」が減少し、生活コストも上昇する、という大きな流れを見落としてはいけません。その流れに対して、家計をどのように対応させていくか、という長期的な視点で家計を見直すことが、ますます重要になっているといえるでしょう。
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