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犬の葬儀・葬式の仕方とは……ペット火葬の方法などを解説

犬の葬儀・葬式の仕方をご存知でしょうか。 愛犬が亡くなった後はどうしたらいいのでしょうか? ペット火葬など、犬の葬儀のスタイルや流れ、費用、副葬品、死亡届など、犬の葬儀(葬式)にまつわるお話を、ポイントごとにご紹介します。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

犬の葬儀・葬式の仕方

犬の葬儀のポイント

犬の葬儀のポイント

生きているものは、いつしかその命を終えます。いつまでも子犬のようだと思っていた愛犬も、やがては高齢期期を迎え、花が枯れるように最期の時を迎えます。また、病気や事故で、早くに生涯を閉じることもあるでしょう。

愛犬の最期の時を、どう見送ってあげたらいいのでしょうか。この記事では、葬儀のスタイルや流れ、費用、副葬品などの基本情報についてお話したいと思います。  
   

犬の葬儀のポイント:愛犬を清めてあげましょう

在りし日の愛犬を想う

いつかはやってくる悲しい別れ…

長かろうと短かろうと、愛犬と過ごした日々はとても愛しいものです。それが終わりの時を迎え、呼吸をすることもなく、ただ横たわっているだけの愛犬の姿を見ることはたいへんつらいことです。しかし、いつまでもそのままにしておくわけにもいきません。

出逢えたこと、そしてともに過ごせたことに感謝をしつつ、愛犬を静かに見送ってあげる最期の時がやってきました……。愛犬を綺麗にしてあげましょう。

全身にブラシをかけ、毛並みを整え、汚れている箇所があれば拭き取ってあげます。状況によってはお尻から便や体液が漏れ出たり、口からも汚物や体液が出たりすることもあるので、口やお尻の下にはトイレシートやバスタオルを敷いておき、汚れた部分はお湯や洗浄液などで濡らしたタオルやガーゼ、またはウェットティッシュなどで拭き取ってあげるといいでしょう。

汚れたまま逝かせるのは、忍びないもの。体を清めてあげながら、愛犬との数々の想い出が蘇ってくるはずです……。

気になるようでしたら、耳掃除や爪切り、歯磨きなどしてあげてもいいでしょう。ガイドは、愛犬を見送る時に一通りのグルーミングをし、カットした被毛やヒゲ、爪などは、今でもずっと大切にとってあります。

中には、開いたままの目が気になるということがあるかもしれませんが、映画やドラマのようにはいきません。実際は、目を閉じることができず、開いたままのこともあります。

また、時間が経てば徐々に体が硬直してくるので、頭や脚の位置など整えてあげるようにします。脚は思った以上に早く硬直してくるため、棺に入れることを考えている場合、棺の大きさによっては脚が真っ直ぐであると入りきらないということも考えられます。状況に応じて、脚は少し曲げてあげる必要もあるかもしれません。
 

犬の葬儀のポイント:愛犬を安置し、祭壇をつくる

愛犬をお気に入りのマットやバスタオルなどの上に寝かせたままでもかまいませんし、昨今ではペット用の棺や、お見送り用のバスケット・おくるみなども販売しています。そういったものを利用する、または段ボールや自宅にあるもので代用するのもいいでしょう。
   

1点、棺やバスケット、おくるみが一緒に火葬できるかどうかは別問題になります。棺類の材質や火葬炉の作りなどによって燃やせない場合もあり、こと段ボールはお骨が黒ずむ可能性やダイオキシン発生の懸念などから火葬には不向きとされています(特殊素材の段ボールもある)。

木材系にしても籐やヤナギなどはともかく、燃え残りの可能性(=お骨が綺麗に残らない)から不向きとするところもあるので「棺類も一緒に火葬を」と思うのであれば、それが可能な素材のものをお選びください。

いずれにしても、特に暑い時期は遺体の傷みも早まるため、シートの上に保冷剤や氷を敷き並べ、その上にバスタオルを敷き、愛犬を寝かせるようにするといいと思います。気温によってはさらに体の周りにも保冷剤・氷をいくつか置くといいでしょう。

そして、簡易的でかまいませんので、愛犬のための祭壇を用意します。愛犬の写真の他、好きだった食べ物やお水、オモチャ、お花などをお供えし、お線香やお香を焚きます。

こうして1晩~2晩、人間のお通夜のように過ごすのが、もっとも一般的なお別れの仕方ではないでしょうか。
 

犬の葬儀のポイント:葬儀のスタイルを選択する

愛犬への供花

愛犬が遺してくれたものに気づく日がきっといつかやってくる…

■ペット霊園・葬儀社を利用
この間にペット専門、またはペットを受け入れている霊園や葬儀社に連絡をし、予約を入れておきます。多くの場合、動物病院にはペット霊園や葬儀社の情報があるはずなので、かかりつけの動物病院で紹介してもらうのが一番早いと思います。または、犬友達から情報を得ること。愛犬を見送った経験のある人であれば、現実的な感想も聞けるでしょう。

そうは言っても紹介された霊園が気に入るとは限りません。自分でもいくつか調べてみることをお勧めします。

多くはこちらからペット霊園・葬儀社に足を運ぶ形になりますが、中には火葬炉を備えた車で自宅まで出向いてくれるタイプもあります。

火葬の種類としては主に以下が一般的です。
※ペット霊園や葬儀社によって内容は少し違うことがあります

■立会個別火葬
人間の一般的な葬儀と同じように、家族が出棺から立ち合い、火葬の後にお骨も拾う。お骨は自宅へ連れ帰りも可。

■一任個別火葬
出棺までは家族が立ち会うが、火葬やお骨拾いは霊園・葬儀社のスタッフが行う。お骨の自宅連れ帰りも可。

■一任合同火葬
他のペットと合同で火葬され、霊園・葬儀社のスタッフがお骨拾いをする。お骨の自宅連れ帰りは不可。

火葬のスタイルの他、お骨はお墓を購入して埋葬するのか、霊園の納骨堂に預けるのか(個別か合同か)、散骨するのか、自宅に連れ帰って保管するのかなど、愛犬が亡くなったばかりではそこまで考えることはなかなか難しいとは思いますが、自分の好みや生活状況に合ったものをお選びください。

参考までに、まだまだ数は少ないですが、人間の霊園の中には飼い主とペットが一緒に“眠れる”ところもあるので「ゆくゆくは自分のお墓を」と思っている人は事前にリサーチしておくといいかもしれません。

■自治体サービスを利用
その他、各自治体でもペットの遺体を引き取ってはくれますが(または持ち込み)、有料で、多くが合同火葬となります。動物用の火葬炉を備えているところや、ペット霊園に搬送して火葬にするところもある中で、一般の可燃物扱いで火葬(焼却)となるケースは少なくありません。

個別に火葬でき、お骨の引き渡しも可能という自治体もあれば、渡せないとするところも多くあります。また、お骨は慰霊碑に合同埋葬される、ペット霊園で火葬後にその霊園に合同埋葬される、専門業者による高温処理のため骨はほとんと残らず遺灰は埋め立て地に運ばれるなど、自治体によって対応は様々です。

■自宅敷地に埋葬
さらには、自宅の土地に余裕があるようなら、庭に埋葬するという方法もあります(自宅私有地以外不可)。この場合、匂いが漏れないよう深く埋める、他の動物に掘り起こされないようにするなどの配慮は必要となり、土にかえるまでには長い年月がかかります。

昨今では、一度火葬して、お骨の状態で埋葬するケースのほうが多いかもしれません。ただ、後々引っ越しや増築改築でお墓の場所が引っかかるという状況になった場合には、お墓をどうするか考えることも必要になるでしょう。
 

犬の葬儀のポイント:犬の葬儀にかかる費用

葬儀のスタイルと併せて、もう一つ考慮ポイントになるのがやはり費用です。基本的には、立会個別火葬・一任個別火葬・一任合同火葬のどれを選択するかと、犬のサイズや体重によって費用に差が出てきます。当然、立会個別火葬がもっとも高く、順に安くなっていきます。
 
  • 小型犬=1万円~4万5,000円程度
  • 中型犬=2万円~5万円程度
  • 大型犬=2万5,000円~6万円程度
  • 超大型犬=3万円~8万円円程度

以上はあくまでも目安であって、地域や施設内容などによって金額には幅があります。この他、供養料やお骨を届けてもらう場合の費用など、オプションが設定されているペット霊園・葬儀社も多いので、ご自身で確認してみてください。

自治体サービスの場合は、2,000円~3万円程度。その地区以外に在住の場合は費用が高くなるか、もしくは受け付けないところもあります。

上記のいずれにしろ、経済事情や家庭事情なども含め、自分の気持ちがもっとも落ち着く葬儀スタイルを選択するのがいいのではないでしょうか。ともに暮らし、愛情を注いだ愛犬なのですから、熟考なさることをお勧めします。
 

犬の葬儀のポイント:火葬の時、棺に入れられる物、入れられない物

副葬品、手紙

後になって想い出として残しておけばよかった…と思うこともあるので、副葬品を選ぶ時にはその場合も考えて(c)Fusako Sasamata/a.collectionRF/amanaimages

さて、気になるのは「棺の中には何を入れられるのか?」ということ。いわゆる副葬品です。

基本的に、燃えると有毒ガスが発生したり、燃え残りが出たりするようなもの(お骨に付いてお骨拾いが難しくなることも)は入れられません。ただし、何が入れられて、何が入れられないのか、ペット霊園・葬儀社によって判断が若干違う場合もあるので、詳しくは問い合わせてみてください。

〇入れられるもの
(燃えるもの)
例:お花、写真、手紙、金具やプラスチック類が付いていない首輪やリード(素材による)、金具やプラスチック類が付いていない薄手の洋服、簡単に燃える程度の布やロープ製のおもちゃ、薄手のシーツやタオル、フードやおやつ(缶やプラスチック類の容器はNG)

×入れられないもの
(燃えないもの、燃えにくいもの、燃えるとお骨や周囲に影響を及ぼすもの)
例:金具やプラスチック類が付いた首輪やリード、金具やプラスチック類が付いた洋服、ボールやゴム製のおもちゃ、クッション、毛布、ぬいぐるみ、飲料や水分の多いもの

少なくとも、副葬品を入れる場合には少量にしたほうがいいでしょう。
 

犬の葬儀のポイント:愛犬の死亡届を提出する

葬儀が済んだ後にも、まだやることがあります。狂犬病予防法第四条により、登録をしてある愛犬が亡くなった場合、30日以内に死亡届を出さなければなりません。その際には、鑑札と狂犬病予防注射済票を提出する必要があります。

届出の受付先は保健所、動物管理センターなど、各自治体のホームページや広報紙に掲載されているはずなので、確認の上、手続きを済ませてください。
 

犬の葬儀のポイント:メモリアルグッズを作って愛犬を偲ぶのも供養

愛犬のメモリアルグッズ

気持ちを内に溜め込み過ぎると苦しくなってしまう。「書く」「作る」「話す」など、気持ちを外に出すことで少しは楽になることも。

お葬式も終わり、愛犬亡き後はとても寂しくてつらく、ペットロスに陥る人も多いものですが、愛犬のために何かを作ってあげるというその作業そのものが、悲しみをほんの少し癒してくれることもあるかもしれません。

ペット用のメモリアルグッズも近年ではいろいろな種類が登場しています。もう新しく増えることのない愛犬の写真……。触れることのできないあったかい体……。どうにも寂しくなるばかりですが、愛犬と過ごした日々とその想い出は確かに自分の中に残っているはずです。そんな愛犬の足跡をメモリアルグッズという新たな形にして偲んでみるのも、一つの供養の方法ではないでしょうか。

ガイドの場合は、愛犬のシルエットで小さな墓石を作り、毛はロケットペンダントに入れて身に付けるようにし、写真集を作ったり、ひたすら愛犬のことを書き綴ったりと、いろいろしました。

それは今でも続いており、「愛犬のためにしてあげられることがまだある」、そう思うことでぽっかり空いた心の穴を少し埋めています。


犬はとても可愛いもの。人間からは得られないいろいろなものも与えてくれます。しかし、悲しいかなその寿命は短く、それが彼らの唯一の欠点だという言葉もあります。

一生にわたって世話をしてあげる分、いつまでも子犬のままでいるような気になってしまいがちですが、犬もやがては年をとり、寿命をまっとうしていきます。そのことは心のどこかに覚悟しておく必要があるでしょう。

だからこそ、今という時を、一瞬一瞬を大切にお過ごしください。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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