「イクメン」「カジメン」とは程遠い男子たちのおんぶはこりごり!?

家事と仕事で疲れ切ったお母さんや妻が出て行ってしまったら!? それだけでも十分衝撃的なのに、残された自分たちは「ぶた」になってしまったら!?

育児や家事を「手伝う」のではなく、積極的に楽しむ「イクメン」や「カジメン」が増えてきている昨今でも、実際にはまだまだ、『おんぶはこりごり』に出てくるピゴット家のような男子たちが意外と多いのでは? 毎朝、妻の顔、お母さんの顔を見れば「朝ごはんは、まだかい」「あさごはん、まだー」。学校や仕事から帰ってくると、「ゆうごはん、まだー」「ゆうごはんは、まだかい」。食事準備だけではない日々のたくさんの家事に追われる中でこんなフレーズばかり聞いていると、だれだって「私はご飯の準備要員じゃないわ!」と言いたくなってしまいますよね。

 


特に、ピゴット家のお母さんは、自身も毎日勤めに出ています。朝ごはんの後には片づけをしてベッドを直して、すべての部屋に掃除機をかけてようやく出勤。夕飯の後にはお皿を洗って洗濯をしてアイロンをかけて、そして朝ごはんの用意をする毎日。2人の息子たちは、何から何まで手をかけてもらうことが必要な赤ちゃんや幼児ではありません。そして、息子たちだけではなくお父さんまでも、お母さんが忙しく動いている間、居心地よさそうなソファーに座り、見つめる先にはテレビが……。


とうとう堪忍袋の緒が切れた!

こんな毎日の中で、とうとうお母さんの気持ちが、プツンと切れてしまいました。「ぶたさんたちのおせわは もう こりごり!」。ある日、3人の男子たちが帰宅した家に残されていたのはこう書かれた置手紙。「おかえり」と言ってくれるはずのお母さんの姿はありませんでした。

何と、置手紙を持って読むお父さんの手に、衝撃的な変化が! しかし、その兆候は以前からあったのです。お母さんがいなくなる以前から、ソファにもたれて新聞を読み、「ゆうごはんは、まだかい」と叫ぶお父さんの影は、すでに……!


「やればできる男子」たちが目覚める

「しかたがない、ごはんをつくるか」。慣れない仕草でキッチンに立つ3人(ぶたさんになってしまったので、3匹、でしょうか!?)。しかし、結果は「大変で、ひどい味」。次の日もその次の日も、大変な作業を繰り返してひどい味の料理を食べて。お皿を洗うのも、洗濯物をするのも初めての3匹たち。次第に家中が荒み始めました……。

家のことを一手に担っていた時の絵本の中のお母さんには、表情がないのです。読んでいても、少し心配になります。でも大丈夫、やればできる男子たち、ようやく目覚めました。男子たちが一番嬉しかったのは、ようやく戻って来てくれて、表情豊かになったお母さんの姿でしょう!


何度読んでも楽しい仕掛けが散りばめられている

何度読んでも楽しめる仕掛けが満載でもあります。キーワードとなる「ぶた」は、家中の小物に登場。ぶたがあふれた家を狙っている影も、外に見えますよ!? お母さんがいなくなってしまった場面では、部屋に飾られている絵画にも、おかしな点が!

男子たちが目覚めて嬉しそうな表情のお母さんの片頬には、あれ!? 黒い汚れが。お母さん、何をしているのでしょう? ユーモアあふれるストーリーと、さりげなく散りばめられた仕掛けの数々が、ラストページまで読者をひきつけてくれます。

ワーキングマザーのケースに限らず、自分のこと、できること、少しずつみんな分担しよう。そんな気持ちを少しずつ共有したい、幼児期後期のお子さんと一緒に、そして、家族で楽しんでいただきたい絵本です。


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