輸入車/注目の輸入車試乗レポート

もはやW12いらず、GT V8に高性能版S登場(2ページ目)

ベントレーの大黒柱、コンチネンタルGT。今や主役のV8モデルに高性能版のSが登場しました。W12のスピードと同様の“手慣れた高性能方程式の解”、一足先に国際試乗会で確かめてきました。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

小気味よさはまるで“小型コンチネンタルGT”

ベントレーコンチネンタルGT V8 S

クーぺは0-100km/h加速4.5秒、最高速309km/k、コンバーチブルは4.7秒、308km/h。複合サイクルの燃費はクーぺが10.6L/100km、コンバーチブルが10.9L/100km

肝心の性能は、どうだったか。

まずは気になるパワーアップの行方、だけれど、正直に言うと、ベースとなったV8モデルと比べて、その差を大いに実感するほどにはパワーアップしているように思えなかった。わずかに、中高回転域でのパンチ力が増した、という程度。もっとも、だからといってそもそもの性能が高く、不満は全くない。もりもりと右足裏を押し上げるようなトルクフィールを感じながらの加速は、愉快である。

試乗車は、クーペ、コンバーチブルいずれのボディタイプにも、21タイヤ&ホイールを履くマリナーパッケージだった。

先に言っておくと、コンバーチブルボディに21インチタイヤの組み合わせでは、街乗りや高速クルージングにおいて、アシ回りの重たさや大きさをことさらに実感させるようなバタつきがあって、新型コンチネンタルGTのもつ上質な乗り心地を若干スポイルしているように思えた。もっとも、ワインディングロードを攻め込むような場面では、確かに、数々のチューニングが利き始める。ノーズの動きもシャープかつコンパクトであり、オープンエアと相まって、十分、スポーティなドライビングが楽しると言っていい。
べントレーコンチネンタルGT V8

4WDシステムはトルセンデファレンシャルを採用、前後40:60の割合でトルクを配分する

オススメは断然、クーペの方だ。こちらは21インチをほぼ完璧に履きこなしていた。元来、12気筒モデルに比べてノーズが軽やかかつシャープに動くことがV8シリーズのウリである。S化のチューニングは、その妙味を存分に引き出してくれる、最高の贈り物となった。

とにかくガンガン攻めてもゆったり転がしても、車体全体がグッと引き締まったように感じられ、そのぶん、自在に運転できるという自信にも似た感覚がドライバーに生まれてくる。それはまるで、小型のコンチネンタルGTを作ってくれたか、と、思えてしまうようなライドフィールであり、実際、その小気味のいい動きはたまらない。ノーマルモデルに顕著だったしなやかシャシーも、ほどよく残されていて、これなら街乗りから峠道まで、存分に楽しめそう。
ベントレーコンチネンタルGT V8 S

フロントスプリッター、サイドシル、リアディフューザーを備え、エアロダイナミクスを向上させ高速時の安定性を高める

今、コンチネンタルGT系で、最もオススメのモデルである。というか、いよいよW12は要らなくなってきた。
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