万引対策には直接的な予防や懲罰的な対策ではなく
啓発的な対策を
次は、子どもが万引をしなくなるためのもっとも効果的な対策は何であるかの質問です。小学生では、「学校の授業でとりあげる」と「万引きしにくい店づくり」が同率で最も高く、中学生では、「学校の授業でとりあげる」が最も高く、僅差で「店づくり」が続きます。高校生では、「店づくり」が最も高く、次いで「保護者がしつける」「学校の授業でとりあげる」がほぼ同率で続きます。
「店づくり」「万引商品の確認」を「直接的な予防措置」
「しつけ」「授業でとりあげる」「テレビ番組」を「啓発的な対策」
「取り締まり」「厳罰化」「店が罰金をとる」を「懲罰的な対策」と分類した場合、
小中高の間で、「啓発的な対策」が最も効果があると思われ、「懲罰的な対策」、「直接的な予防措置」が、それに続くという共通の傾向が見られます。
つまり、小中高生を通じて、教育的な対応に高い効果を期待する者が多く、店舗側の対応の効果にはそれほど期待をしていないことがうかがわれます。
効果的だと思う万引対策―店舗編―
こちらも中高生を対象にした、店が行っている万引対策のうち、どの対策が効果的だと思うかの質問には、中高生ともに、「万引防止機の設置」が最も高く、次いで、「監視カメラやミラーの設置」、「挨拶、声かけ」という順になっています。ここで、潜在的な万引犯への「監視カメラやミラーの設置」「万引防止機の設置」「警備員の巡回」を「威嚇的対策」に、客一般への働きかけによる「万引対策店であることのアピール」「挨拶、声かけ」「マイバッグ利用ルールの設定」を「間接的対策」にグループ分けしてみます。
中高を通じて、潜在的な万引犯に対して威嚇する対策に効果があると7割弱の者が考えており、店に来訪する客全員に向けた間接的対策に効果があると考える者の割合を大きく上回りました。
効果的だと思う万引対策―学校・警察編―
学校と警察が行っている万引対策のうち、どの対策が効果的だと思うかの質問については、中高生ともに、「学校での指導」が1位で、「警察が学校に連絡」「中古品買取店が保護者に確認」が続きました。多くの中高生が、学校を非行防止に有効な教育の場だと考えていることがわかります。男女別にみると、中高生を通じて、「学校での指導」は女子が高く、「警察が学校に連絡」は男子が高くなっており、女子が学校の役割を重視し、男子が警察の役割を重視していることがわかります。
今回の調査結果からわかること
この青少年の意識調査によると、子ども達は、「親は、何でも子どもの言うとおりにするべきではなく、間違ったことは注意するべきだ」と考えていることがわかりました。親に叱られたいがために、親にもっと構って欲しいがために、非行に走る子どももいると言います。過保護や過干渉はされたくないとは思いつつも、放任もされたくないと願っているのではないでしょうか。また、子ども達は、「親子はよく会話すべきだ」と考えていると思われますが、この結果を踏まえて、今以上に積極的に会話をするよう心がけてはいかがでしょうか。子どもに話しかけにくい雰囲気の時もあるかと思いますが、子どもも会話すべきだと考えているということを頭の片隅に置いて、親の方から話しかけてみましょう。ただその際、ご機嫌を取る必要はもちろんありませんが、子どもを責めるような内容にならないよう気をつけましょう。
【関連サイト】「商店街における万引きに関する調査」(東京都民・商店の実態・意識調査結果報告書)