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注目したバンクローンファンドを検証する

投資信託のガイドとして、これまでも新規設定の注目ファンドをいくつかご紹介しましたが、その後の経過報告をおざなりにするわけには行きません。設定から半年も経過していませんが、投資信託の動向に際立った動きが見られないことから、2013年10月にご紹介したバンクローンファンドの途中経過を見てみることにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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改めてバンクローンファンドとは?

2013年は近年まれに見る投資信託の設定ラッシュとなり、年間の新規設定本数は1000本を越えました。2014年からNISA(少額投資非課税等制度)が始まったことに対応するため、NISA向けの投資信託が多数設定されたからです。NISA向けファンドも、いつかは検証してみたいと考えていますが、今回は2013年10月に執筆した記事「新規設定が急増しているバンクローンファンド」の検証です。

2014年に入っても新規設定が行われていることから、1つのカテゴリーに育ちつつあるバンクローンファンド。とはいえ「バンクローン」という言葉を聞き慣れないことから、簡単にバンクローンからご説明しましょう。

バンクローンは、銀行などの金融機関が事業を拡大するために必要としている企業に行う融資(ローン)ですが、主に非投資適格(BB格相当以下)の格付けを有する企業への融資のことです。信用力の低い非投資適格への企業融資であることから、資産を担保に取って(有担保)保全を計っており、融資金利は変動金利に特徴があります。

投資資金の流入はダッシュがつかず

2013年の秋口には、三菱UFJ投信、新光投信、三井住友アセットマネジメント、三井住友トラスト・アセットマネジメント、マニュライフ・インベストメンツ・ジャパンなどの複数社がバンクローンファンドを新規設定。いずれも米国の金利上昇を睨み、既存の固定金利商品(債券など)を投資対象としている投資信託のリスクヘッジに対応するなどを理由として新規設定ラッシュとなったようです。

2014年2月24日現在、昨年秋口に設定されたバンクローンファンドの純資産総額は600億円弱。本数の割には、投資資金の流入に加速がつかなかったようです。米国の長期金利の上昇にブレーキがかかったことが要因かもしれません。

米国の長期金利は、2013年6月ころから上昇していますが、秋口以降は上昇のペースが鈍化。年明けには米国株が下落したことから、債券市場に資金が流入。長期金利は2013年の夏頃の水準に低下してしまったのです。株価が上昇に転じてからは、米国の長期金利も上昇しているものの、その動きは上昇を恐れる心配をするほどではない、言い換えれば緩やかな動きに留まっているのです。

運用成績は堅調に推移

毎月分配型、年2回決算型ともに為替ヘッジあり、なしが揃っている、マニュライフ・インベストメンツ・ジャパンの「マニュライフ・変動高金利戦略ファンド」の2014年1月末基準のマンスリーレポートを見てみましょう。

同ファンドは、2013年9月12日に新規設定されています。2014年2月24日現在では、毎月分配型の為替ヘッジありコースこそ基準価額が1万円を割れていますが、その他は全て1万円を超えています。ただ、これまで3回の分配金、合計で120円を支払っていますので、分配金を含めた設定来の騰落率はプラスになります。

マンスリーレポートには、1ヵ月、3カ月、設定来の騰落率が記載されていますが、ヘッジありが0.8%台、ヘッジなしが4.0%台と堅実なスタートとなっています。

ポートフォリオ特性を見ると、直接利回りは5.78%、残存年数は5.34年、平均デュレーションは0.17年ですから、バンクローンの価格変動リスクはあまり取っていないことがわかります。組み入れバンクローンの平均格付けはB+なので、やや信用リスクを取っているようです。

組入銘柄数は117銘柄、最も組み入れ比率が高いバンクローンでも2.21%。平均格付けはB+であるものの、銘柄分散を行うことで信用リスクを押さえる努力をしているようです。純資産総額が増える程、組入銘柄数は増えると考えられます。

国・地域別構成比は、米国が87.4%と突出していることから、米国のバンクローンの影響を受けやすくなっています。通貨別構成比も100%米ドルなので為替ヘッジなしタイプは、円/米ドル相場の影響を受けることになります。

業種別構成比は、消費財(景気敏感)、基幹産業、消費財(生活必需品)、通信、情報技術が上位5業種で、組入比率は79.1%を占めます。上位5業種の業況が今後の運用成績の鍵を握ると言えそうです。

投資資金の流入は緩やかであるものの、運用成績は堅実なスタートをきったようです。評価はしにくいですが、投資対象の性格から言えばとりあえず合格点はあげられそうです。米国の金利上昇が本格化した際に、変動金利の真価が発揮されるのか注目したいところです。
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