リズミカルで歌うようなフレーズ『おやさいとんとん』
「にんじん にんじん とんとんとん きれいに ならんだ とんとんとん」「ぶんぶん ブロッコリー とんとんとん おっところがる ごろごろりん」。リズミカルで楽しくて、読み手も歌を歌っているような気持ちになるフレーズ。絵本『おやさい とんとん』は、全ページがこんなフレーズで流れていきます。
食べることの第一歩は興味
母乳やミルクを飲むだけだった赤ちゃんが、「食べる」ようになる一番大きな要素は興味。離乳食の開始時期には目安となる月齢があり、それは、体の成長に伴う消化器官や口の動かし方の発達なども土台になっていますが、体の機能的に「食べられる」段階に入っていっても、本人が食べ物への興味や食べることへの意欲をまだ備えていなかったら、大人がどんなに促しても、双方の思いはかみ合いません。赤ちゃんは、自分以外の家族が食事をする様子を見て、食べることへの興味を膨らませます。また、おもちゃの食べ物を食べるまねをしたり、大人が「はいどうぞ」「ありがとう」の声をかけながら渡したり受け取ったりして遊び、食べ物にまつわる楽しさを共有することも、1つのきっかけになるでしょう。絵本もそんなきっかけの1つ。『おやさいとんとん』では、穏やかな笑顔のにんじんや玉ねぎ、じゃがいもやブロッコリーが、まるで絵本の中から語りかけてくるようにこちらを見つめています。そして、リズミカルで耳に心地よいフレーズを、家族や保育園の先生など大好きな人の声で届けてもらえたら、耳だけでなく心にも心地よく刻まれていくことでしょう。「いただきま~す!」が、赤ちゃんにとって楽しく嬉しい響きとしてなじんでいくといいですね。