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JPMザ・ジャパンの販売が再開

昨年4月、急激に純資産残高を増やし、設定額上限に達したため販売停止になっていた「JPMザ・ジャパン」の販売が、2月10日から再開されました。高い運用実績とともに、個人からも人気の高いファンドであるだけに、今後の運用実績が注目されます。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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JPMザ・ジャパンの運用は過渡期にきているのか

もともと同ファンドの設定上限額は1000億円でした。

設定上限額とは、「これ以上お金が集まったら販売を停止します」という目安です。昨年1月末時点における同ファンドの純資産残高は591億円でしたが、その後、株価の上昇と共に、同ファンドの資金流入が加速し、3月1日には1000億円を突破。3月4日に最初の販売停止となりました。

その後、設定上限枠を1000億円から2000億円に拡大し、4月1日から販売を再開したものの、4月5日には再停止となりました。何と、その翌営業日である8日には、純資産残高が2000億円を超えてしまったのです。

設定上限額とは、ファンドの円滑な運用を担保するために設けられています。
たとえば、投資銘柄数を30銘柄程度に絞り込んで運用するファンドがあるとしましょう。そのファンドに5000億円の資金が流れ込んだらどうなるでしょうか。単純に割り算して等金額投資を行うと、1銘柄あたり166億円もの買いを入れることになります。

それも、発行済株式数の少ない中小型銘柄でポートフォリオを構成すると言う運用方針のファンドだったら、完全に運用の自由が奪われてしまいます。買えば株価が跳ね上がる。売れば株価が暴落するというように、自分の売買で株価を動かす結果になってしまうのです。

これを「マーケットインパクト」と言います。
設定上限額というのは、こういう状況に陥らせないようにするための自主規制みたいなものです。投資信託会社からすれば、お金が集まるほど運用管理費用が取れるので、経営的には望ましいのですが、ファンドの投資対象などから見て、適正規模を超えたファンドは運用実績にとってネガティブ要因になります。そのため、設定上限額を超えたところで、販売停止となるのです。

さて、恐らく多くの人の関心は、今後、同ファンドの運用実績はどうなるのか、ということに尽きると思います。実際、JPMザ・ジャパンが多額の資金を集められたのは、販売金融機関による強烈なまでの営業の賜物でもありますが、やはりアピール出来るだけのしっかりした運用成績を維持していたからです。実際、JPMザ・ジャパンの運用実績は、ベンチマークであるTOPIXを大きく上回るパフォーマンスを維持していました。

これから先の運用実績については、マーケット次第という面もありますが、ちょっと気になるのが運用資産の規模。ピーク時に比べて減ったとはいえ、それでも1000億円超のメガ・ファンドです。

同ファンドは国際優良銘柄よりも、東証2部や東証マザーズに上場されている銘柄をはじめとして、いわゆる尖った銘柄を中心にポートフォリオを組んでおり、こまめに利食い、損切りを行う機動的な運用スタイルを売りにしています。純資産残高の規模が、販売再開で再び急増すると、これまでの運用スタイルを維持することが難しくなるでしょう。

その意味で、JPMザ・ジャパンの運用は、ひとつの過渡期に来ているように思えます。

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