テクノポップ/海外のテクノポップ

t.A.T.u.ソチ五輪出演の意図を深読みすると(2ページ目)

ソチ・オリンピック開会式で日本に続き入場行進するトリのロシア。流れてきたのは、t.A.T.u.とDaft Punkのマッシュアップ! 最近の同性愛者へ締め付けが目立つロシア、同性愛関係を売り物にしてきたt.A.T.u.、この二つの大きな矛盾について考察してみました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

ゲイ・プロパガンダ禁止法

それ以上に興味深いのは、何故t.A.T.u.がロシアを代表する歌手として選ばれたか(厳密に言えば、どんな意図で選んだのか)です。日本でもニュースとなりましたが、ロシアでは2013年6月29日に最終的にプーチン大統領の署名により「ゲイ・プロパガンダ禁止法」が成立しています。名前からしても仰々しいですが、同性愛行為そのものを禁じるものではなく、同性愛関係の宣伝行為(プロパガンダ)を行った場合罰せられる規定です。大義としては、同性愛関係が児童の精神的発達に悪影響を及ぼすのを防ぐためです。

また、ソチ市長は「(ソチがある)カフカス地域ではそんなこと(同性愛を公言すること)は許されない。それにソチにはゲイはいない」と発言しています。指導という名の欲望にまみれたソ連が崩壊して、一見自由化が進んだと思われるロシア権力者(ロシアの一般国民という意味ではありません)の、強権的かつ偏見的側面が見えてきます。その是非には意見が分かれるでしょうが、これらの影響で欧米主要国の首脳は開会式への参加を見送りました。

t.A.T.u.が行った世界的プロパガンダ?

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Я сошла с ума

t.A.T.u.は、ロシア版マルコム・マクラーレンともいうべきプロデューサー、イワン・シャポヴァロフによって生み出されました。彼女たちが、実際の所、同性愛関係にあったかは、甚だ疑わしい(実際に否定したコメントもあります)ですが、レズビアン女子高生というイメージを明らかに売り物にしていました。彼女たちの意図がどうかは別として、全世界的にプロパガンダしたと言われてしまいそうです。

 

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Давай закрутим землю

営業的活動として、t.A.T.u.としてスポットでの再結成ライヴや日本の「スニッカーズ」のCMをこなしているメンバーですが、各メンバーはソロ活動がメイン。比較的最近のユーリャのソロ曲「Давайзакрутим землю (Didn't Wanna Do It)」のクリップなんかは、男女シーンに混じって、レズシーンも出てくるわけで、これも「ゲイ・プロパガンダ禁止法」的にはアウトの可能性が高い。ゲイ・プロパガンダ禁止法は幻だったのでしょうか?

Давай закрутим землю (YouTube) *年齢制限があります

 

確信犯?

その様な状況下で、プーチン大統領がt.A.T.u.の曲で入場するロシア選手団に拍手を贈る姿は滑稽の極みです。あまり考えないで、世界的知名度がある唯一のロシア歌手としてt.A.T.u.が選ばれたのか?、誰かが確信犯的に隠れたメッセージとしてt.A.T.u.を選んだのか?、出来れば後者であって欲しいです。
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