優れたドイツ製品の共通項
「ミーレがある家のガレージには、メルセデスが停まっている」。そんな都市伝説にも似た話を聞いたのは1度や2度ではなかったような気もする。これをいたって真面目に表現するとするならば、<暮らしを豊かにしたい>という価値観を突き詰め、たどり着いた結果プロダクトが似通っていたということになろうか。どちらもドイツを代表する企業だが、住関連メーカー「ドンブラハ」も同じカテゴリーに属する1社であろう。水道の蛇口やシャワーといった水栓金具を製造するメーカーである。
昨今の新築マンションでは、ドイツ製の水栓金具を用いることなど何ら珍しくはない。だが、モデルルームの水回りスペースに入った途端、その優れたデザイン性に圧倒されるのは「ドンブラハ」をおいて他にないといっても過言ではない。それは例えば、水栓金具単体で写真集が成立するという事実をして然り。はじめて存在を知ったのは、鹿島建設設計施工「東京シーサウスブランファーレ」(港区)。坪単価@200万円前後のマンションに装備できたことは今だ謎である。最近では億ションでもたまに見かける程度。
「ドンブラハ」の魅力と注意点
シャープなラインで構成されたスタイリッシュなデザインは、ウェブ上で検索すればその一端を感じ取ることができるだろう。そこでここでは、下の画像にある1穴型シングルレバー洗面用混合栓「タラ・ロジック」を対象にその使用上の利点について3点ほど述べてみよう。1点目は、ユーザビリティである。右のレバーを右に傾け吐水、支柱と並行で止水となる。手前に倒れるほど水温は上がっていく。こうした一連の利用方法は(よく見る赤や青のマークや文字などの類が一切なく、とはいえ)少しの試行錯誤で把握可能。ポイントは硬くもなく軽々しくもない、程よい加減で作動するよう調整がなされていること。水量の微妙な調節が容易である。
2点目は、デザイン性だ。垂直に伸びた支柱は曲線を描いて真下に向かうが、このフォルムは水を放出した状態がもっとも美しい。つまり、使っている状態においてインテリア空間は完成するのである。これは前述の書籍を見ても明らか。
3点目は、音。出口に見える細かな多角状の部位が水に空気を混入させるわけだが、その際にかすかに金属性の含んだ水音に変化する。ボウルから跳ね広がる水の音は水量によっても異なる。3分の1程度レバーを倒した状態(は洗顔時などで最適量とも思われる)が、一番耳に心地よい。
最後に注意点を。外国製はアフター体制が課題になることが少なくない。とくに普及していないメーカーはより慎重になる必要があるだろう。「ドンブラハ」の場合、取扱い代理店を良く調べ、故障修理の経験が豊富にあるかどうかを見極めたい。パッキンなどの在庫はある程度確保していなけば、それだけで数週間待たされるといったことが有り得るかもしれない。
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