そこで、この一冊。種本?

ところで、種本という言葉をご存知でしょうか。受験界用語ですが、試験委員が問題作成をする際に、参照している基本書のことです。簡単に言えば、「この本から出題された」ということです。

種本がわかれば、それを使いたいというのが人情ではないでしょうか。ですが、もちろん公表されていません。

このような状況の中、私は基本書として芦部信喜『憲法』をおすすめします。理由は、各種国家試験において、憲法の基本書として長年使われていること。さらに、平成25年行政書士本試験の出題において、この本が出典と思われる出題があったからです。

行政書士試験憲法の種本がこの本とまでは言いませんが、試験委員が参照する本が5冊あれば、おそらくその1冊に入っているのではないでしょうか。それだけ学者の間でも信頼のおける本なのです。

この本は、人権判例の広さという意味では、多少物足りないかもしれません。しかし、学習効率を考えると、多すぎるよりはいいと思います。つまり、ほどほどの広さなのです。次に、人権判例の理解の深さですが、とても簡潔・平易に書いてあり、ほどよい深さと言えるでしょう。

ただ、芦部憲法は漠然としてわかりにくいという印象を持つ方もいるかもしれません。そんな人には、高橋和之『立憲主義と日本国憲法』をお勧めします。とても理論的です。ただ、上級者向けですので、不要な点を読み飛ばす必要があります。

統治の勉強の仕方

統治は条文を中心に出題されています。ですから、条文さえあれば何とかなるとも言えます。ただ、統治のシステム、条文の趣旨などを理解した方が、圧倒的に条文の暗記が楽になります。そこで、基本書の併読をお勧めします。

「芦部憲法の統治の記述は薄い」という評価が昔からされています。確かに、その通りだと思いますが、行政書士試験のレベルを考えると、これで十分という気もします。それよりも、統治の条文について、各制度や権能を比較したり、正確に暗記することを心掛ける方が大切です。

なお、統治に関しても大事な判例はあります。芦部憲法でおおよそは網羅していると思います。ですから、それほど心配はいりません。


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