「かなちゃん」が迷う度に増えていく『かなちゃんがいっぱい』
子どもは大好きなものやことがいっぱい! どっちかなんて選べない! でも、あれもこれも手に入れて実現するために、自分がどんどん増えてしまったら!? 大好きなものがたくさんあって、興味が旺盛な、活発な「かなちゃん」。全部を手に入れるためにどんどん増えてしまったかなちゃんの物語『かなちゃんがいっぱい』は、日々育児を頑張る人たちをも応援しているようです。
好きなものやことがたくさんあって、増えすぎてしまう「かなちゃん」
「うーん、どっちにしようかな」「うーん、どれにしようかな」。朝食のパンにつけるのは、ジャム、それともはちみつ? おうちで本を読むのと、外で遊ぶのと、どっちにしよう? こねこの本と、こうさぎの本と、こいぬの本と、どれにしようかな? 大好きな物がたくさんの元気いっぱいのかなちゃん。かなちゃんが迷う度に、かなちゃんはどんどん増えていきます。最初はちょっと戸惑い気味のかなちゃんですが、自分が増えたおかげで、食べたいものを全部食べられて、やりたいことが全部できるように。でも次第に、家の中にも外にも、たくさんのかなちゃんがあふれ返ります。小さな子どもは、次から次へとあれやこれやに興味を示して手を出す存在。親から見れば、目の前にいる子どもが1人でも、何人もに増えたように、収拾がつかなくなる状態もありますね。増え続けたかなちゃんたちのように、笑顔で自分たちのやりたいことに夢中になってくれれば、まあいいかなとも思えるかもしれませんが、それにしてもかなちゃんは増えすぎました。よっぽど、好きなもの、やりたいことがたくさんある女の子なのでしょう。夜、仕事から帰ってきたお父さんも、家の中いっぱいにあふれ返ったかなちゃんを見て、唖然とします。
やんちゃな子どもの育児はエネルギーを使うけれど……
日々、やんちゃな小さな子どもを育てていると、エネルギーを吸い取られますよね。子どもの寝顔を見ながら、ようやくホッと一息ついたり。そんな時に、今日1日の我が子の様子を頭の中に思い浮かべてみる方もいるでしょう。たくさんのことをして、笑ったり泣いたり喜んだり怒ったりしていた、色々な子どもの表情や動きが、よみがえってくるのではないでしょうか。そんなたくさんの子どもの姿が、たくさん増えたかなちゃんたちそのものではないかと、私は感じたのです。育児はエネルギーを使うけれど、1日の終わりに、たくさんのその子の姿を振り返ることができるとしたら、それはとても嬉しいことですね。迷わず飛び込める場所
かなちゃんが増えすぎても全く動じないお母さんでしたが、夜寝る時間がやってきたら、そろそろかなちゃんには1人になってもらいたいものです。そして、さすがお母さん、かなちゃんが決して迷わない大好きなことを叫んだら……。安心して過ごせる場所があるからこそ、子どもは好きなことを思いっきりできるものなのです。かわいいかなちゃんの物語は、日々育児を頑張るお母さん、お父さんたちへ応援メッセージのようにも感じられました。