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再び80兆円台に乗せた投資信託の純資産残高

昨年12月末の公募型投資信託の純資産残高が80兆円を超えました。前回、80兆円に乗せたのは2007年6月のこと。そこからサブプライムショック、リーマンショックでマーケットが急落した影響を受け、2009年1月には50兆円を割り込みましたが、そこから5年の歳月を経て、再び純資産残高は過去最高水準に迫ろうとしています。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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2013年12月公募型投資信託の運用本数は、全部で4922本に

一昨年後半からのマーケットの好転を受けて、投資信託の市場規模も徐々に回復してきています。2007年にかけて、「いざなみ」と言われた戦後最長の景気拡大局面では、一般の個人投資家向けに販売されている公募型投資信託の純資産残高が80兆円を超える場面ありました。ちなみに、2007年6月に初めて80兆円を突破し、同年10月には過去最高の82兆1518億6600万円を記録しています。

そして再び、2013年12月末に公募型投資信託の純資産残高は80兆円を突破し、81兆5232億1800万円に達しました。

ただ、純資産残高の増加を単純に喜んでも良いのかどうか。中身を詳細に見ていくと、必ずしも投資家にとって好ましい方向ではない面もあります。

それは市場規模の拡大とともに、国内投資信託は再び多産多死の道を歩んでいることです。2013年12月末時点の公募型投資信託の運用本数は、全部で4922本にも上ります。

バブル経済が崩壊した後の1995年8月、公募型投資信託の運用本数は6457本にもなりましたが、その後は本数を削減しようという動きがあり、2004年7月には2525本まで減少しました。ファンドマネジャー1人あたりの運用本数を減らすことによって、1本1本のファンドの運用に力を注いでもらうため、というのが理由でした。
ところが今、再び投資信託の運用本数は増加しています。

特に昨年の秋口以降、運用本数の増加に拍車がかかりました。その多くは、「NISA向け」として、新規設定されたファンドです。次々に新しいファンドを設定しても、運用が長続きしなければ意味がありません。日本の投資信託の平均寿命は2.4年などと言われていますが、このような短期間のうちに償還されてしまうようなファンドが大半を占める状況では、長期投資を前提にするNISAの定着も、おぼつかなくなってしまうでしょう。

もう1点、年末にかけてMRFが純資産残高を大幅に伸ばしたことにも触れておきたいと思います。

MRFは短期債券などを中心にしてポートフォリオを構築する、元本割れリスクの極めて低いファンドです。その純資産残高が、過去最高の11兆1789億6200万円にもなりました。前月比で1兆4132億6800万円の増加です。これだけ急激に純資産残高が伸びた背景は、証券税制が1月から本則に戻ることを嫌気して、キャピタルゲイン税率が低い12月のうちに、利益が乗っている株式や投資信託を一旦解約して、利益を確定させる動きが広まったからでしょう。

このMRFに滞留している資金が、再び株式投資信託に戻ってくるかどうか。マーケットが活気づくかどうかは、現在、MRFに止まっているお金の行方が左右することになりそうです。
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