日本株ファンドの騰落率が突出
2013年、1年間の投資信託の騰落率(運用成績)を一言で表せば、日本株を投資対象とする投資信託の騰落率が突出していることです。ETFやブル・ベア型ファンドを除いても、騰落率トップ10の投資信託は全て日本株ファンド。第10位の騰落率ですら100%を超えているのですから、驚きの運用成績と言えるでしょう。騰落率トップ10の全てが日本株ファンド、かつ騰落率100%超というのは、1999年前後のITバブル期以来のはずです。裏を返せば、2013年の日本株の高騰は、数十年振りなどと報道されるのもうなずけることなのです。
純資産総額10億円以上で、確定拠出年金(DC)専用またはラップ口座(SMA口座)専用ファンドを除いた全ファンドの騰落率第1位は、騰落率292.34%、三井住友アセットマネジメントが運用する「JASDAQ-TOP20指数ファンド」です。
JASDAQ-TOP20指数に連動した投資成果が期待できる投資信託で、ガンホー・オンライン・エンタータテイメント株の高騰が突出した騰落率の要因と考えられます。ちなみに、同指数に連動するETFの騰落率は309.72%でした。
アクティブ運用の第1位は、SBIアセットマネジメントが運用する「ソフトバンク&SBIグループ株式ファンド」で、騰落率は191.57%でした。2013年の春先に好成績で名を馳せた、JPモルガン・アセット・マネジメントの「JPMザ・ジャパン」兄弟は、後半の運用成績が伸びなかったようで、日本株だけの騰落率トップ10にも入っていません。
JPMザ・ジャパンの運用成績が低迷した理由は、純資産総額が1000億円を超えるファンドとなってしまったことから、小型株を中心とした回転売買で収益を積み上げていく運用スタイルが取りにくくなったことが要因と考えられます。JPMザ・ジャパンの騰落率は79.4%なので、通常であれば良好な運用成績と言えるはずです。
外国株ではバイオ関連が健闘
日本株ファンドの騰落率が突出しているのですが、資産運用は国際分散投資が原則。他の投資対象の投資信託の運用成績も見てみることにしましょう。2013年は、債券よりも株式にフォローの風が吹いたことから、外国株ファンドからです。外国株の騰落率1位は、ピクテ投信投資顧問が運用する「ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月決算型)為替ヘッジなしコース」で、騰落率は100.62%です。騰落率のトップ10には、バイオ関連株を投資対象とするテーマ株ファンドが数本入っています。
近年、外国株の騰落率の上位を占めるのはBRICsを始めとする新興国株ファンドが中心でしたが、2013年は新興国株ファンドがトップ10に1本も入ってしません。米国の金融緩和縮小観測による資金流出、経済成長率が鈍化したことなどにより運用成績が低迷した要因と考えられます。
先進各国の金融緩和政策によりREITも注目を浴びました。国内REITを投資対象とする第1位は、みずほ投信投資顧問が運用する「通貨選択型Jリート・ファンド(毎月分配型)米ドルコース」で、騰落率は61.48%です。株式と比較して、J-REITは2013年後半やや低迷しましたが、通貨選択による為替差益等を確保して騰落率を上げたと考えられます。
通貨選択型を除くJ-REITを投資対象とする第1位は、明治安田アセットマネジメントが運用する「明治安田J-REIT戦略ファンド(毎月分配型)」で、騰落率は45.82%です。
海外REITを投資対象とする投資信託の第1位は、野村アセットマネジメントが運用する「ノムラ日米REITファンド(毎月分配型)」で、騰落率は28.13%でした。米国REITが年後半伸び悩んだことが、騰落率が奮わなかった要因と思われます。2013年も米国REITを投資対象とする投信信託にかなりの投資資金が流入したようですが、年間騰落率に関してはJ-REITに分があったようです。