指しゃぶりがやめられないお子さん、ご家族の方へ贈る絵本『ゆびたこ』
もうすぐ小学生になるのに指しゃぶりが直らない……。お母さんやお父さんからも「指しゃぶりはやめなさい」と何度も何度も言われて、本人も直したいのに、気づくと指は口の中……。そんなお子さんたち、心配するご家族の方たち、大丈夫ですよ! なかなか指しゃぶりが卒業できない子も、いつかは卒業する日が来るのです。指しゃぶりをやめられない女の子と、指にできた立派な「ゆびたこ」の交流を描く絵本『ゆびたこ』が、指しゃぶり卒業をユーモラスなお話で応援します。
本人が一番直したい、でも吸っちゃう!
「すったらだめ!」とお母さんには指に包帯を巻かれ、お姉ちゃんには「あんたのためやで」と、指にわさびを塗るという荒療治を施され、お父さんには1時間もお説教されて……。一番やめたいのは、「わたし」なのに、眠たくなると指は口の中に吸い込まれていきます。ああ、読んでいると私の中にもほろ苦い思い出がよみがえります。我が家にも、指しゃぶりをなかなかやめられない子がいました。眠くなると、お気に入りのタオルとセットで、指をチュパチュパ。小学生になっても続きました。体の大きくなった子が、赤ちゃんのように指を吸っている姿を見ると、どうしても、「指吸ってるよ」「なかなか直らないなあ」。本人も気にしていることを重々承知ながら、どうしても口から出てしまうのです。歯並びやあごの発達への影響など、大人は大人なりに心配して、どうしたらやめられるのかなあと、思いを巡らせてしまうものです。
立派に成長したゆびたこが、しゃべり出した!
絵本では、女の子の指で立派に成長したゆびたこが、顔を現してしゃべり出します! 目鼻立ちのはっきりした大きな顔が現れる場面は、大人でも意表をつかれます。指の節にできたたこが顔になるなんて、妖怪話!? 子どもは怖がる!? しかし、目のクリッとした憎めない顔つきに、ユーモアたっぷりのゆびたこの口調に、グイッとひきつけられる子どももいるようです。ゆびたこは、家族が見ていないときにだけ、女の子に話しかけてきます。「あんたがいっぱいすうてくれたから、こんなにせいちょうできたわ」「もっとゆびしゃぶりして、わいのことおおきくしてや~」。あわてた女の子は、必死に指を吸うことを我慢します。吸われなくなって次第に小さくなったゆびたこが、消え入りそうな声で頼みます。「さいごにいっかいだけ、ゆびすってくれ……」。ずっと頑張って吸わなかったのに、吸ったらどうなっちゃうの!? お話はクライマックスを迎えます。
どうして指しゃぶりを直せたのかな?
やがて入学式を迎え、ランドセルを背負い、お母さんと手をつないで校門をくぐる女の子。教室からは、入学を喜ぶお姉ちゃんが笑顔で手を振っています。もう、指しゃぶりは卒業できたようです。どうして卒業できたのでしょうか?誰に言われてもなかなか卒業できなかった指しゃぶり。女の子が一番つらかったかもしれませんね。女の子は、自分でゆびたことしっかり向き合いました。たくさんおしゃべりをしました。そんな中でゆびたこは、女の子の成長を感じ、ちょっと意地悪な物言いをしたり、からかうような素振りを見せたりしながらも、最後は潔く身を引いていったのかもしれません。
小学生になっても指しゃぶりがなかなかやめられなかった我が子、「寝るときだけはどうしても吸いたいんだ……」と言っていました。穏やかに眠りに入る儀式ぐらい、どうぞどうぞ、と親も思っていたら、いつの間にか卒業。高学年になったら、この絵本のゆびたこが大のお気に入りで読んで読んでとせがんでくる1歳の弟をひざにのせ、「こんな頃、あったなあ」と懐かしがりながら、何度も読んでいます。期限を決めて頑張らなくても大丈夫ですよ! 指しゃぶりを卒業したいなあと思っている子どもたちに、私からもエールを送ります。