「持っている企業」に選別して投資
2013年8月、久し振りの日本株ファンドの新規設定ということで、インベスコ投信投資顧問が運用する「インベスコ日本株式アドバンテージ・ファンド 愛称:なるほど!ニッポン」をご紹介しました。(『新規設定増える!久々に注目の日本株ファンドは?』参照)運用が開始されてから、約5ヵ月弱と短いことから正当な評価を下すことはできないでしょう。また、紹介時には数年後の運用履歴が揃ったところで運用成績を検証してみたいとも述べましたが、スタートダッシュは上手く行ったのか気になることから検証してみました。
復習になりますが、まずは簡単にインベスコ日本株式アドバンテージ・ファンドの特徴を述べましょう。同ファンドが投資対象とする日本株は、「持っているブランド力」「持っている技術開発力」「持っている顧客基盤」の3つが基本となる「持っている企業」へ厳選して投資が行われます。
市場、セクターなどに制限は設けられていなく、同一銘柄への実質的な投資割合が、取得時において純資産総額の10%以下とする制限だけが設けられています。また、売買回転率は10~20%程度と低く抑えることから、選択と集中、ならびにバイ&ホールドが投資スタイルになります。
若干の出遅れスタートか?
2013年8月23日に設定されたばかりなので、運用履歴は5ヵ月弱。同年11月29日現在のマンスリーレポートの騰落率は、1ヵ月=5.15%、3ヵ月=14.34%しか記載されていません。同期間のTOPIX(配当込み)は、1ヵ月=5.40%、3ヵ月=14.56%なので、若干下回っている状況ですが気にする程ではないと思います。気になる組み入れ銘柄ですが、上位10銘柄は図のようになっています。
参考にTOPIX連動のインデックスファンドで純資産総額が最も多い、農林中金全共連アセットマネジメントの「JATOPIXオープン」、日本株のアクティブファンドで純資産総額が最も多いフィデリティ投信の「フィデリティ・日本成長株・ファンド」も載せておきました。
「JATOPIXオープン」だけが、2013年12月末現在、他のファンドは同年11月29日現在のマンスリーレポートから抜粋したものですが、比較してみるとその違いが見えてきます。「フィデリティ・日本成長株・ファンド」は、TOPIXと重複する銘柄が3銘柄であるのに対し、「なるほど!ニッポン」は1銘柄。「フィデリティ・日本成長株・ファンド」と「なるほど!ニッポン」の重複は1銘柄のみです。
組入上位業種は、「なるほど!ニッポン」は電気機器、銀行業、サービス業、化学、機械が上位5業種ですが、「日本・成長株・ファンド」は、電気機器、輸送用機器、銀行業、機械、卸売業、「JATOPIXオープン」が電気機器、輸送用機器、銀行業、情報・通信業、機械、化学となっています。業種からは際立った違いは見られません。業種別配分は、TOPIXを意識しつつも、銘柄選択にはこだわり、言い換えれば「持っている企業」をしっかり選別しているのでしょう。
「なるほど!ニッポン」の純資産総額は2013年11月29日現在で21億1600万円、「日本・成長株・ファンド」は、3669億9000億円(共にマンスリーレポートより)なので組み入れ銘柄数に大きな差があるのは仕方がありませんが、「なるほど!ニッポン」の特徴は選択と集中にあります。
組入上位10銘柄の純資産構成比は、「なるほど!ニッポン」は44.4%、日本成長株ファンドは26.7%です。純資産総額の増加により、組入上位10銘柄の純資産構成比は変わると思われますが、今のところ選択と集中はしっかりと行われているようです。
騰落率が若干TOPIXを下回っているため、スタートダッシュとはなりませんでしたが、二桁以上の騰落率となっていることからの良好なスタートと言えるでしょう。売買回転率を抑えたバイ&ホールドの運用スタイルであることから、今後の運用成績に期待するとしましょう。