注目の2戦目を振り返る前に…
この一頭追っかけシリーズも、ずいぶん間が空いてしまいました。前回の更新は、シャドウダンサーの2戦目となった黄菊賞(芝1800m、京都競馬場)の直前、11月6日。それから2ヶ月も音沙汰がなかったのには理由があります。それは、シャドウダンサーがアクシデントに見舞われたから。そのアクシデントについて語りたいところですが、その前にまずはシャドウダンサーの2戦目から振りかえっていきましょう。
厳しい評価をくつがえして……
デビュー戦で、ド派手な圧勝劇を繰り広げたオーシャンヒーロー。父母ともに日本のG1を制している、屈指の良血トゥザワールド、元プロ野球選手の佐々木主浩さんが所有する、期待の一頭ヴォルシェーブ。この強力な3頭が顔を揃えた黄菊賞に、シャドウダンサーは出走しました。シャドウダンサーも、デビュー戦を勝って挑む良血の一頭。しかし、レースを見守る観客は、「シャドウダンサーは3頭にかなわないかな……」という見方。その証拠が以下の単勝オッズです。
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【黄菊賞】レース直前の単勝オッズ
オーシャンヒーロー 2.7倍
トゥザワールド 2.8倍
ヴォルシェーブ 5.2倍
シャドウダンサー 11.9倍
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「単勝」とは、1着を当てる馬券。馬名の右にある○倍は、的中した場合のオッズ(倍率)で、その馬の単勝馬券を買う人が多ければ多いほどオッズは低くなります。つまり黄菊賞では、オーシャンヒーローとトゥザワールドが勝つと見ている人がほぼ同数でもっとも多く、その少し下にヴォルシェーブ。シャドウダンサーへの支持は、3頭にくらべて少ないことが分かります。
この評価も仕方ないでしょう。とにかく3頭は、前走で素晴らしい勝ち方をしましたから。対してシャドウダンサーは、薄氷の勝利。しかし! いずれもまだキャリア1~2戦の馬たち。本当の能力は分かりません。もちろん逆転も可能です!
ということで見てみましょう、11月9日(土)の黄菊賞を!
黄菊賞のレース映像(シャドウダンサーはオレンジ帽の11番)
豪華メンバーで見せた、シャドウダンサーの「真価」
素晴らしいレース。素晴らしい頑張りを見せてくれましたね、シャドウダンサー。結果は見ての通り2着。しかも勝ったトゥザワールドに引き離されてのゴールでしたが、それでも個人的には大満足。というのも、トゥザワールドは何のトラブルもなく、終始、最短距離のインコースを走る省エネ競馬。いわばこれ以上ない理想的なレースぶり。対するシャドウダンサーは、必ずしもすべてがうまく行ったわけではありません。距離のロスが大きい一番外側を回っての2着ですから、負けたとはいえ悲観する内容ではないのです。そして何より、今の時期にこの豪華メンバーで2着に入れたことが大きい。自分で書きながら興奮してきました。
とはいえ、シャドウダンサーがレース途中でズルズル後退したときはどうなる事かと思いました。それが一転、最後の直線では目を見張るような伸び。一時は大敗を覚悟しましたが、後から考えると、実はあのズルズル後退していったことが好走のポイントだったと思うのです。さらには、今後の飛躍にもつながると思うのです。
次ページで詳しく解説します。