競馬/一頭追っかけシリーズ

追っかけシリーズ第4回 ~アクシデント発生!?~(2ページ目)

2戦目にして早くも世代屈指の強豪とぶつかることになったシャドウダンサー。果たしてその舞台で、シャドウダンサーはどんなレースを見せたのでしょうか? そして、その後に起きたアクシデントとは一体? 2戦目の模様と、それ以降のシャドウダンサーを追っていきます。

河合 力

執筆者:河合 力

競馬ガイド


シャドウダンサーの利口さが思わぬ方向に……

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シャドウダンサーが目指すは5月の日本ダービー(写真 JRA)

スタート後、外から先頭集団に加わったシャドウダンサー。ここで前回のデビュー戦とは少し違う姿が見られました。

簡単にいえば力んでいる状態。シャドウダンサーに乗る戸崎騎手を見ると、わずかですが背中が丸まり、重心が後ろに行っています。これは、馬に「もう少しゆっくり走ろうよ」と指示している形。デビュー戦では、シャドウダンサーが力む素振りはまったく見られませんでしたが、今回は少し違いました。

競走馬は、多かれ少なかれレースで学んでいきます。デビュー戦のときはまだレースというものが分からず、ひたすら騎手の指示を待っていたシャドウダンサーも、2戦目になるとレースの意味を少しずつ理解し、やる気になったのでしょう。今回は、前半から少し力を入れて走ろうとしました。

ただ、競馬において力んでいいのは終盤だけ。前半から力めば体力を消耗し、敗北につながります。そこで戸崎騎手は、「もう少しゆっくり走ろうよ」と指示しました。この時、気の荒い馬ならそれに抵抗することもありますが、やはりシャドウダンサーは従順。騎手の指示に従い、ほどよく減速……のはずが、むしろ従順過ぎたのでしょう。つまり、騎手の指示をきっちり受け入れた結果、減速し過ぎてしまったのです。

おそらく、これがレース途中のズルズルの理由。実はあのシーンこそが、シャドウダンサーの利口さを示しているのではないでしょうか。

もちろん、ズルズル下がり始めたときに、騎手がもう一度加速するよう指示を出すことも可能。その場合は、騎手の手がグイグイ動きます。ただ、戸崎騎手はあまり強く指示を出さず、馬のリズムを尊重しながら走らせていましたね。結果、ポジションは大きく後ろまで下がりましたが、私はこれが直線での追い込みにつながったと思うのです。

「よーし、今回は気合を入れていくぜ!」と張り切っていたシャドウダンサーが、スタートしたら「いや、そんなに力まなくていいよ」と騎手に制された。そこでシャドウダンサーが「あ、そうなんだ」と力を抜いた。もしここで戸崎騎手が「いやいや、そこまで気抜いたらダメだ!」と、またもガンガン加速させていたら、馬はパニックに陥る可能性があります。もちろんキャリアの豊富なオトナ馬なら問題ありません。しかしシャドウダンサーはまだデビュー2戦目。混乱することもあったはずです。

もしあのとき混乱してしまえば、体力を消耗します。あるいは、馬自身が嫌気をさしてしまいます。そうなれば、最後の直線であの追い込みはできなかったはず。さらには今後、「レース」というものに対して、悪いイメージを抱いてしまったかもしれません。

肝を冷やしたズルズル後退の瞬間。しかしそれがレースでの好走、あるいは今後の飛躍のポイントになると感じたのは、こういった理由からです。

勝ったトゥザワールドは、先ほど言ったように完璧なレース運び。しかも、走破タイムはコースレコードというおまけつき。その中での2着ですから、冗談抜きで今年5月のG1日本ダービーに向けて、道がほんの少し見えてきました。

順調だったシャドウダンサーを襲ったアクシデント

私の期待がどんどん膨らむ中、当のシャドウダンサーは、黄菊賞から2週間後、11月23日(土)に行われる京都2歳ステークス(芝2000m、京都競馬場)を目指すことに。このレースも名馬が何頭も出走してきた出世レース。私もドキドキしながら、レースに向けて追っかけシリーズの新しい記事を書いていました。

しかし、レース2日前の木曜日にアクシデントが起きました。発表された京都2歳ステークスの出走メンバーに、シャドウダンサーの名がないのです。つまり、レース直前での回避。こういうことは、競馬においてよくあります。たとえば、陣営が「やっぱり他のレースに出よう」と矛先を変えたり、「体調が悪いから今回のレースは見送ろう」と決断したり。これらのケースなら何も問題はありません。

一番怖いのはケガによる回避です。特にレース直前は、「追い切り」と呼ばれる調教(トレーニング)も本格的になるため、骨折などの大きなケガをすることも少なくありません。大きなケガは競走能力に関わるどころか、引退に追い込まれる場合さえあります。

シャドウダンサーが回避した理由は何なのか。私はこれが分かるまで本当にドキドキしました。とにかく、最悪の事態だけは避けてほしい……

しばらく経って、情報が入ってきました。シャドウダンサーは、やはりケガでした。ただ、骨折などの大きなものではなく、捻挫(ねんざ)とのこと。走っている際に足をひねって発症することが多く、まだフォームの固まらない若い馬にはよくあることです。ということで、11月後半からシャドウダンサーは休養に入っています。

捻挫は決して大きなケガではなく、悲観する必要はありません。ただ、完治までの期間はケースバイケース。意外に長引くこともあります。できれば5月末の日本ダービーに向け、2月頃に復帰してほしいところですが、何せまだ成長期に当たる3歳のサラブレッド。無理をしてはいけません。気長に待ちたいと思います。

もし、復帰に時間がかかるようなら、次回の記事では「シャドウダンサーへのラヴレター」を綴るしかありません。直筆での公開も考えます。もしくは他のプランを考えましょう。

ということで、焦らずがんばろう、シャドウダンサー!

(リンク)
シャドウダンサー|netkeiba.com
黄菊賞~レース結果~|netkeiba.com

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