マンションで猫を飼うときに注意したいこと
猫は意図的に人間を困らせるようなことはしません。たとえば、猫がジャンプした足音が階下に響たり、隣の洗濯物に猫の毛がついたりするのは飼い主が注意すれば防げることです。集合住宅に住んでいるのですから、日常生活で迷惑と感じてもある程度はお互い様でやり過ごせることもありますが、非のある方の態度如何で、物事はどんどんこじれてしまいます。猫を飼っていることで同じマンションの住人に不快感を与えないよう注意するとともに、もし何かで文句を言われたときは感情的にならず、直せるところを正してお互いが気持ちよく暮らせるようにしてください。■完全室内飼いにする
猫をマンションの中だけに閉じこめて飼うことに罪悪感を持つ必要はありません。狭い部屋で可哀想と思うのであれば外に出すよりも、その部屋の中で猫がのびのび暮らせる工夫をしてください。若い猫であれば走り回れるスペースがある方が喜びますが、基本的に上下運動ができるスペース、自分がほかのものより高い場所に陣取れるスペースがあれば猫のストレスを少なくできます。キャットツリーを設置するとか、家具の配置で段差を作って猫が登ったり降りたり、高い場所でくつろげる場所があれば猫のお気に入りスペースになるでしょう。
■基本的に猫はベランダに出さない
低層階であれば猫はさっとジャンプして外に逃げていってしまいますし、中~高層階からジャンプしたら命に関わります。一般的に、3~5階から猫が落下すると非常に高い確率で猫は死亡します。7階以上の高層階であれば地面に着地するまでに時間がありますので、猫が着地体勢を取れれば大ケガで済むこともあるようですが、低層階では時間がないので頭から突っ込んでしまうケースが多いと報告されています。
このほか、ベランダの狭い隙間からあっという間にお隣のベランダに入り込んしまうこともあります。何かの拍子で猫がベランダに飛び出したときのことを考えて、鳥よけのネットを張るなど猫がいきなり落下しないように防いでおいてください。
部屋の中に陽が入らないのでベランダで日光浴をさせたいと思うのであれば、猫が小さいうちからハーネスとリードに慣らして、リード付きでベランダに出すようにしてください。猫は何かの拍子でいきなりジャンプすることがあり、リードが身体に絡まってしまうと危険です。リードを付けているときは絶対に目を離さないよう注意してください。
■不妊・去勢手術をしましょう
普段の猫の鳴き声は気にならない程度でも、発情期の声はびっくりするほど大きく響き渡ります。スプレー行為が始まると非常にキツイアンモニア臭が漂いますし、一度ついたニオイは完全に落とせなくなることもあります。早めに不妊・去勢手術を済ませましょう。
■猫の抜け毛に注意
猫をグルーミングするときは、窓を閉めて猫の毛が外に飛び散らないようにしましょう。ベランダで猫をグルーミングするのは御法度です。猫のベッドや敷物をベランダに干すときも、先に掃除機で毛を取っておくなどして毛が飛び散らないように注意してください。シャンプーするときは、猫の抜け毛が配水管に詰まらないように注意してください。
■猫砂はトイレに流さない
トイレに流せるタイプの猫砂がありますが、集合住宅でもし配管が詰まったら他の居住者にも迷惑がかかります。流せるタイプの猫砂が絶対に配水管に詰まらないという保証はないので、トイレに猫砂を流さない方が無難です。猫の排泄物は決められた方法でゴミとして出しましょう。
■ニオイ対策
猫のトイレはいつも清潔に掃除して、部屋の中にニオイがこもらないようにしましょう。猫の排泄物をベランダに出す人がいますが、その場合は密閉式のゴミ箱に入れるなどニオイが漏れないように注意してください。
■壁・床を守る工夫を
賃貸の場合はいつかそこを出て行く日が来ます。そのときに部屋の修繕費を少なくするためにも定期的に猫の爪を切り、猫には決まった場所で爪をとぐ習慣を付けさせておきましょう。一度壁などで爪をといでしまうと、自分のニオイがつくので、猫は何度でもそこで爪とぎを繰り返します。絨毯の端切れをや爪がたたないツルツルの素材のクロスを貼るなどして、壁を保護してください。
フローリングは猫がジャンプしたときに下の階に音が響きやすいし、爪によって傷つきやすくなります。足の裏の毛が長い猫種だとフリーリングで滑ってしまい足腰を痛めることがあります。防音効果のある絨毯などを敷くのが一番よいのですが、猫の毛がつきやすい、掃除がしにくい、猫が吐いたりした場合キレイに掃除ができなくて不衛生になりやすいなど難点もあります。絨毯より、最初にコルクマットを敷き、その上にフローリングカーペットを敷くと防音効果が高いし掃除も楽です。
猫は壁などの角に額をスリスリして自分のニオイを付ける習慣がありますので、白っぽい角だと徐々に脂染みがついて変色してきます。猫が身体を擦りつけそうな角っこもクロスなどでカバーしておく方がよいでしょう。
■オープンキッチンに注意
対面方のオープンキッチンであれば、料理をしているときに猫が厨房に入れないようにしておいた方が無難です。料理をするときは猫を別の部屋に隔離するか、大きめのケージを用意しておいてその中に入れる習慣を付けるとよいでしょう。
水道の蛇口から直接水を飲むことが好きな猫が多く、シンクの中に入り込むと体中を濡らしてしまいます。シャンプーなど本来は水に濡れることを嫌うはずの猫ですが、自分の欲求することであれば身体が濡れても気にはならないようです。台所を使い終わったらシンクの水滴はキレイに拭き取っておくか、シンクの上に金網を置き猫がシンクの中に入れないようにしておいた方がよいでしょう。
このほか、生ゴミの処理も気を付けなければいけません。硬い魚の骨や鶏の骨などを猫が飲み込むと腸を傷つけてしまうこともあるので、生ゴミは必ず蓋付きのゴミ箱に捨てましょう。
■外に連れ出すときはキャリーバッグに入れる
部屋を一歩出るとそこは共有部分。エレベータも廊下もあなた一人のものではありません。猫を連れて外に出るときは必ずキャリーバッグに入れて、他の住民の迷惑にならないようにしましょう。
■室温に注意
マンションはとても気密性が高い住宅です。真夏閉めきった室内はかなりの高温になりますので、猫が熱中症にならないよう室温を管理してください。マンションは冬でも暖かく過ごせますので、ノミやダニ、カビなどが発生しやすい環境といえます。猫を外に出さなくても、散歩で身体にノミをつけて帰ってくる犬がいるかもしれませんので、定期的に予防駆虫を行いましょう。