ボディが小型されているため、レンズが巨大に見えるが、これで24-200mmのズームとは思えないほどレンズは短く収納されている
打倒一眼レフ! レンズ交換不要カメラ登場
大きくて重いが高画質の一眼レフ、小さくて軽いコンパクトデジカメ、そんなジャンル分けを一蹴するかのように登場したのがミラーレスです。レンズ交換可能、コンパクトボディで、高画質も実現。ミラーレスの登場によってハイエンドコンパクトデジカメは決定的な打撃を受け、ネオ一眼と言われた大型モデルは市場から姿を消しました。ところがSONYがRXシリーズの新製品として「RX10」を発売。RXシリーズのコンセプトはコンパクトデジカメに大型センサーと高性能レンズを搭載して、一眼レフに負けない画質を追求することです。特に「RX1」はフルサイズセンサーを搭載して、カメラ1台1台をチェックしてレンズとセンサーの取り付け位置の誤差を微調整して減らしています。これはレンズ交換式の一眼レフやミラーレスには真似のできない手法です。RX100IIはズームを搭載していますが、28-100mmの3.5倍止まりです。「RX10」は広角24mmから望遠200mmをカバーする8.3倍ズームです。さらにズーム全域で開放絞り値F2.8を実現しています。コンパクトデジカメの弱点はレンズ交換ができないことですが、「RX10」は大口径高倍率ズームの搭載で、レンズ交換の必然性をなくしました。さすがにサイズはコンパクトとは言えませんが、その重さは約813gと一眼レフとは比較にならないほど軽量です。例えば一眼レフで同様のシステムを組もうすると、キヤノン最軽量「EOS Kiss X50」の重さが約495g、70-200mm F2.8ズームが1490gで合計1985gと2kg近くになります。ニコン「D3200」が約505g、18-200mmF3.5-5.6ズームが565gで合計1161gとなります。さらにキヤノンは広角端が70mmになってしまい、ニコンは開放絞り値がF3.5からF5.6と「RX10」のスペックに追いつけません。なぜソニーにそんなスペックが実現できたかと言えば、センサーサイズを1型にしたからです。ニコンにも1型センサーを使ったNikon 1シリーズがあり「J3」は約244gと超軽量です。つまり我々が必要とする画質が1型センサーで実現できれば、レンズもボディも小型軽量化ができる訳です。従来も各社からレンズ交換不要の高倍率ズームモデルが発売されていますが、あくまでも運動会用で高倍率競争に陥り、センサーサイズを大型化するという発想はありませんでした。
望遠端までズームミングするとレンズはこんなに長くなる。200mmF2.8を実現するには1型センサーでもこの口径が必要なのだ
液晶画面には撮影情報が表示され、こちら側は一眼レフにしか見えないインターフェイスを採用している