光学ズームとデジタルズーム、なにがどう違うの?

光学ズームとデジタルズームの違いとは? 

光学ズームとデジタルズームの違いとは? 


デジタルカメラの説明をするときに、いつも困ることのひとつとして挙げられるのが光学ズームの違いとデジタルズームの違いだ。

「3倍デジタルズームと3倍光学ズームってあるけど、なにがどう違うの?」

これが特に電話での話であったりすると、答えようがないほどの難問になる。ビデオカメラをある程度使いこんでいるユーザーにはわかってもらえるが、そうでない人に分かるように解説するのはほぼ不可能だ。実画像があれば、すぐにわかってもらえるのだが……というわけで、今回の記事は実画像を使ってデジタルズームの解説をしたい。

しかし、ここで問題がある。デジタルズームは、多くは光学ズームの補佐的存在として搭載されている。あるいは、光学ズームがまったくない機種、あるいは多くの携帯電話などにも搭載されている。

というわけで、同じ機種で光学ズームとデジタルズームを同じ倍率で行なって画像を比較するということは基本的に不可能なのだ。

やむをえず、擬似的な環境を揃えることとした。技術的に行なっていることは同じなので納得していただきたい。

下の画像は左が光学ズームの70mm相当で撮影した画像、右が35mm相当で撮影した画像をレタッチソフトで4倍に拡大し、該当部分をレタッチソフトでトリミングしたものだ。これで一応は4倍のデジタルズーム相当の画像となる。  

デジタルズームの正体はトリミング

そう、デジタルズームとは撮影した画像を引き伸ばし、切り抜いたものなのだ。いわゆる『トリミング』と呼ばれる技法だ。それに比べると、光学ズームは望遠鏡を覗いているのと同じである。つまり、画像の劣化がないわけだ。

さて、このトリミングがなにを起こすか、画像を参照していただきたい。
 
光学ズーム

光学ズーム

 
デジタルズーム

デジタルズーム相当


……っと、縮小した画像では違いが分からないかも知れない。ではバラの花がどのような描写になっているか、実画像と倍率を同じにして切り抜いたものを見ていただこう。
光学ズームで撮影したもの。水滴も綺麗に見える。

光学ズームで撮影したもの。水滴も綺麗に見える。

 
デジタルズーム相当。拡大したためにノイズがひどい。

デジタルズーム相当。拡大したためにノイズがひどい。


実際の画像を見てもらえれば一目瞭然だろう。画像のメリハリや色の再現性、その他もろもろ。特にノイズはひどいことこの上ない。

光学ズームとデジタルズームは比べるべきものではない。筆者はデジタルズームを周囲に勧めていないが、その理由が分かってもらえるはずだ。

それでは、デジタルズームは一切使わないほうがいいのだろうか?
 

デジタルズームは使うべき機能ではないのか?

デジタルズームの画質はよくはない。では、デジタルズームは一切使うべきではないのか、あるいはデジタルズーム搭載機は買うべきではないのか? という疑問が残る。デジタルズームが搭載されている機種は少なくない。それなのに、その機能を使うべきではないのか?

画像のクリアさはたしかに光学ズームに分がある……というより、デジタルズームは問題外ですらある。

が、しかしである。こちらの作例も見ていただこう。
 
光学ズーム

光学ズーム

 
光学ズーム+デジタル4倍ズーム相当

光学ズーム+デジタル4倍ズーム相当


これも先ほどの作例と同じく左がオリジナルデータから400x300ピクセルに縮小したもので、右が中4倍に引き伸ばしてから中央をトリミングして400x300ピクセルに縮小したものだ。

オリジナルデータは筆者の所持するデジタルカメラの望遠端で撮影したものだ。しかし、望遠端でこれ以上は近寄れないにもかかわらず、巣箱が思いのほか遠くにあったためにこういった写真になってしまったわけだ。

どちらがいい写真に見えるだろうか? 左の写真は焦点のぼんやりした、つまらない写真となってしまっている。それにくらべ、右の写真は画としてのクオリティはかなり低い。ノイズもそこかしこに出ている。

しかし、意図がはっきりしている写真となっている。中央のカルガモの雛が首を伸ばして巣代わりの木箱に入ろうとしてるライブ感がよりよく伝わってくるはずだ。こういう場面で、デジタルズームがあるのであれば有効に使うべきである。

それに加え、こちらの作例は元の画像から縮小を施している。縮小することによって、ノイズや色の悪さもかなり解消が可能なのが見て分かるだろう(バラの画像でも全体を縮小したものではさほど違いが目立たなかったように)。

ブログのエントリに掲載する画像であれば、デジタルズームも積極的にあるていどは使ったほうがいいということだ。
 

デジタルズームはないよりはあった方がいい!

デジタルズームを使わずに、作例のようにレタッチソフトでトリミングすることで対応してしまうというのもひとつの手ではある。しかし、手間が1ステップあるかないかは非常に大きい違いだ。

さらに1枚だけの画像を撮るのであればともかく、何十枚と撮影することを考えるとデジタルズームで最初から撮っておいたほうが無難であるといえるのだ。

結論としては、光学ズームに比べ、デジタルズームは画質面で明らかに劣っている。しかし、ないよりははるかにマシというのもまた事実なのだ。

デジタルズームしか搭載されていない機種では被写体に歩いて近づけるのであれば、デジタルズームを使わずに自分から近づこう。しかし、なんらかの理由で被写体に近づけないのであれば、デジタルズームを積極的に活用するという使いかたがベストであろう。

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