物理療法の問題傾向
物理療法に関する出題数は、毎年、約3問ほどですが、2013年は5問出題されています。出題内容は、温熱療法、寒冷療法・光線療法・電気療法・水治療法・牽引療法など、各物理療法の適応と禁忌、目的や効果、作用などを問う問題が主です。ただ、ここ数年では、エックス線写真の所見と状況説明の文から、適応となる物理療法を選択する問題や禁忌となる物理療法を選ぶ問題が出てきており、整形外科疾患や評価学、脳血管疾患等と同様に画像所見の勉強は必須となっています。物理療法の過去問題と解答
過去問題 第52回(2017年)水の物理的特性で水中運動療法における生理的な作用に影響しないのはどれか。
- 水圧
- 浮力
- 抵抗
- 屈折
- 熱伝導率
この問題の答えは【4】になります。水の特性で身体に影響を与えるものを考えるとおのずと答えは一つに絞られます。屈折は水を通じて発生する光の変化であり、人体に影響するものではありません。その他の選択肢である、水圧は、静脈還流量の増減に影響し、浮力は体重の免荷に作用します。また水の抵抗は、感覚フィードバックやエネルギー代謝の増加、筋力増強につながり、熱伝導率は空気中よりもはるかに高くなり、温熱療法、寒冷療法などの効果を上げます。
過去問題 第52回(2017年)
鵞足をつくるのはどれか。
- 大腿二頭筋
- 内側広筋
- 半腱様筋
- 腓腹筋
- ヒラメ筋
この問題の答えは【3】になります。ほぼ養成校一年時に習うであろう基礎中の基礎の問題であり、この問題を間違われた場合は、国家試験合格からほど遠い状態といます。相当量の復習を行っておきましょう。なお、鵞足は半腱様筋、薄筋、縫工筋の停止部位のことであり、その付着部がアヒルの足に似ていることから、鵞足と呼ばれています。
過去問題 第50回(2015年)
寒冷療法の作用で正しいのはどれか。
- 痛覚閾値の低下
- 血液粘稠度の低下
- 毛細血管透過性の亢進
- 組織の酸素需要量の減少
- a運動ニューロンの活動抑制
この問題の答えは【4】になります。寒冷刺激による代謝量減少により、組織の酸素需要量も減少します。その他の選択肢ですが、1の痛覚閾値は、寒冷刺激により高くなります。2の血液粘稠度は、赤血球数が増加するため高くなります。3の毛細血管透過性は、寒冷刺激により低下します。5は、a運動ニューロンではなく、r運動ニューロンが抑制されます。
過去問題 第48回(2013年)
10歳の男児。なわ飛びの練習から後踵部の圧痛と逃避性跛行がみられた。単純エックス線写真を次に示す。疼痛緩和を目的に行う物理療法で間違っているのはどれか。
- 赤外線
- 超音波
- ホットパック
- パラフィン浴
- 運動後のアイシング
この問題の答えは【2】になります。まず、問題の説明文から小児であることがわかります。さらに画像所見から脛骨の骨端線が閉鎖していない状態と判断できます。その為、この男児の骨成長に影響を及ぼす、超音波は禁忌となります。なお、その他の選択肢ですが、1.3.4については温熱効果による血流促進で疼痛緩和を図ります。5については、骨折直後の炎症反応軽減を目的に行います。
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