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住まいの防災、リフォームで何をするべきか

オールアバウトが行った防災に関する意識調査で、地震への高い危機意識を持っているにもかかわらず、実際の対策は不十分で、手軽なガラスの対策をしていない人も多かったことがわかりました。今回は、リフォームでできる住まいの災害対策をご紹介します。

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド

オールアバウトのマーケティングチャネル、生活トレンド研究所が行った「4府県の防災」に関する意識調査(2014年実施)で分かったのが、地震への危機意識の高さに比べ、実際の対策は不十分であることです。今回は、忘れがちなガラスの安全策など、リフォームでできる住まいの災害対策をご紹介します。

新耐震基準はよく知られている、地震に対しての意識は高い

耐震基準という言葉をご存知でしょうか。これは建物が地震に耐えられる性能の基準のことで、地震が多い日本では世界的にも最高峰に位置します。この耐震基準が大きく強化されたのが1981年です。建築基準法が改正され、それ以降の基準を「新耐震基準」と呼んでいます。

1981年以降に建てられた住宅は、新耐震基準で設計されているので地震に強く、震度6~7程度の大地震でも即座に倒壊しないことを目標にしています。それまでの古い基準では、震度5程度で即座に倒壊しないことが目安でしたので、その年を境に日本の住宅の耐震性能は大きく進化したことになります。

実際、阪神淡路大震災でも新耐震基準で建てられた建物は、旧耐震基準の建物に比べて倒壊の被害が少なかったという報告があります。

ただし注意点もあり、この即座に倒壊しないというのは、言葉の通りすぐにはつぶれないという意味で、損傷を受けないという意味では無いことを知っておく必要があります。

またこの基準に沿っているかどうかは申請ベースですので、1982年に建てられたものであっても、1981年5月までに建築確認が通っていれば、古い基準で建てられている可能性があります。逆に、この基準はあくまでも法律で最低基準として決められたものなので、1981年より前に建てられたものであっても、新しい基準以上の性能を持っている建物もあります。

意識調査結果

地震に対する意識の高さが表れている。静岡の認知度が高いことが目立つ。


今回の「4府県の防災」に関する意識調査では、「あなたは建物によって1981年以前に建築されたものと以降に建築されたものと、耐震性に差があることをご存知ですか?」という設問を設定、東京都、静岡県、大阪府、兵庫県ともに50%以上の人が知っていると答えました。

これはかなり高い数値と言え、一法律の改正内容にここまで広い認知があるのは異例とも言えるでしょう。それだけ地震に対して高い危機意識を持っている人が多いということですが、気になるのが意識と現実には大きなギャップがあるという部分です。

意識と現実のギャップ、新耐震を知っていても実践しない理由

部屋探しする二人

新耐震基準についての認知があっても実際の家選びでは半数が意識していないという結果が。

これだけ新耐震基準の認知があるにもかかわらず、データを見ると、実際の家選びでは半数がその知識を生かしていないという結果が出ています。

「現在お住まいの住宅はそれを意識して選びましたか?」という問いに、4府県ともに知っているにもかかわらず、その半数以上が特に意識せずに選んだと回答しているのです。

その理由として、知ってはいても耐震より優先度が高いものがある、あまり重大なこととは思っていない、必要は感じていても選びきれなかった、手を出せなかったなどが考えられます。費用やタイミングの問題もあることでしょう。このあたりに知識と現実のギャップが表れているように思えます。

 

命を守るために耐震改修リフォームを

空撮

1981年より前の家は早めに耐震リフォームを、それより新しい家は点検を受けておきたい。

旧耐震基準のままになっている住宅はまだたくさんあります。築35年(2016年現在)より古い建物ですから、居住者が耐震改修リフォームの必要性を感じていなかったり、賃貸住宅ではなかなかやりきれないという面もあるでしょう。

しかし大切な命を守るためにも、1981年より前の家は早めに耐震改修リフォームを実施することが肝心です。

旧耐震を対象とした耐震改修リフォームは自治体の補助が充実していて、無料診断をしていたり、補助金や減税制度が充実したりしています。まずはお住まいの自治体へ問い合わせてみて下さい。

1981年の基準法改正以降、更に2000年にも木造住宅の柱の接合金物の仕様などに関して新たな規定が加えられています。また新しい家でもシロアリや漏水により構造部分が被害を受けていれば、耐震性能が低下している可能性があります。我が家の耐震性能を正しく知っておくためにも、まずは我が家の築年数を確認し、点検を受けておきましょう。

 

想像しやすい家具の転倒、想像しにくいガラスの破片による被害

今回の「4府県の防災」に関する意識調査の中で、もう1つ気になったのが屋内の防災意識についてです。「あなたは現在自身が暮らしている家の家具などについて、防災対策を行っていますか?」という問いに対し、本棚やタンス、食器棚など家具の固定に関しては、多くの人が実施しているという結果が出ています。

防災アンケート

家具の固定の実施率は高いが、ガラスの飛散防止に対する実施率が低い。


しかしガラスの飛散防止については、地震だけでなく、台風や竜巻などの災害対策にも有効であるにもかかわらず、実施している人は平均すると10%にも満たない結果となりました。

家具の転倒はわかりやすい危険ですが、ガラスの破片が散乱することによる危険は想像しにくく、またシートを張るのに手間が掛かるというのもあるでしょう。

しかし地震や台風、竜巻でガラスが割れて破片が散乱してしまうと、避難経路が塞がれたり、破片でケガをしてしまったりする可能性があります。災害時にはなかなか手当が受けられないこともありますので、生命に係る重篤な事態に発展する恐れもあります。

ダイ・ハードで裸足の相手をくぎ付けにする戦術「ガラスを撃て!」

ガラスの破片の恐ろしさについては、ダイ・ハードという映画の中で描かれていました。ブルース・ウィリスがビルの中で敵と戦っているシーンで、彼は裸足。そこで敵がガラスの破片を使った戦術を思い立ち、「ガラスを撃て!」と叫ぶのです。その瞬間、あたり一面にガラスの破片が飛散し、ブルース・ウィリスは一歩も動けなくなってしまいました。

家の中では裸足でいることが多いものです。もし災害時にガラスが割れたら同じような状況に陥ってしまいます。映画の中では、ブルース・ウィリスは根性で破片の上を走り抜けましたが、実際はそうはいきません。

素足の危険

家の中では裸足でいることも多いもの。災害時にガラスの破片が散らばらないように対策を。


ガラスの破片の飛散は、ホームセンターで売っている飛散防止フィルムを張るだけでも防げますので、できるだけ早く始めましょう。その際忘れがちなのが、窓ガラスだけでなく食器棚の扉や室内ドアのガラスです。それらも忘れずに対策しておくことが、いざという時に命を守ってくれます。

ガラス対策や家具やピアノの固定は下記でご紹介していますので、あわせてご覧下さい。
いざという時のために一歩踏み出すことが大切です。1つずつわが家の災害対策、防災リフォームを始めていきましょう。

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