里親の3つの形……養育里親、養子縁組里親、親族里親
日本の里親の種類は3つに分類できます。養育里親には養育費と里親手当が、親族里親と養子縁組里親(養子縁組が成立するまでの期間)には養育費が、いずれも公費から支給されます。■養育里親
様々な理由によって、実の親が育てられない子どもを養育する里親。特に、虐待を受けた子どもや心身の発達に気がかりのある子どもについては、「専門里親」といって、一定期間の里親経験や、専門の研修の受講、養育に専念できることなどが条件となります。
■養子縁組里親
養子縁組を希望する里親で、里子として預かってから、家庭裁判所が養子と認めるまでの間のことを指します。養子縁組を希望しても、まず半年間は里親・里子として同居し、その後、家庭裁判所の審判を受けて戸籍が移されます。
■親族里親
三親等以内の親族による里親とされてきましたが、東日本大震災で身内を亡くした子どもが多く出たことなどを受けて見直しがされました。三親等以内でも扶養義務のないおじやおばについては、養育里親として、今まで対象とならなかった里親手当の支給を受けながら対象児童を育てることができるようにしました。親族里親の経済的・精神的負担を減らすことが目的です。
里親になることを希望した際は、まず、居住地の管轄の児童相談所に申し出て、家庭状況や、どのような形で里親を希望するかなど、面接を受けます。さらに研修を受けたり児童養護施設の見学に行ったりして、里親制度についての理解を深めます。里親登録をしても、希望する条件ですぐに里子との出会いあるケースの方が少ないそうです。
乳児院、児童養護施設から里親家庭への動き
厚生労働省のまとめでは、公的な保護が必要な子どもは全国で約47,000人。児童虐待が社会問題となり、認識が広まったことなどから、ここ十数年、その数は増えていて、児童養護施設や乳児院の受け入れ人数も増加しています。このうち、里親家庭で暮らしている子どもの割合は10人に1人。国は、里親委託を増やして平成41年度までに、3人に1人にする目標を掲げています。しかし、里親制度を根付かせるには課題もあります。次の記事では、里親をしている方の体験談などから「里親制度の現状と課題」を見ていきます。
▼里親制度の現状と課題……里親の体験談から
【参考資料】
・「社会的養護の現状について」(平成25年3月版 厚生労働省)