全国に店をプロデュース、地域の生産者と繋がる
杉窪章匡さん
杉窪さんはパン職人であり、菓子職人であり、料理人であるうえで、店のプロデュースをライフワークとすべく、2013年の秋にその活動を具現化させ始めました。「夢は、弟子を全国に輩出し、地域のこだわりの生産者と繋がって、人や土地によいものを還元することです」。
プロデュース先の手みやげのスペシャリテコーナー
9月、名古屋に「テーラテール」をオープンしたのを手始めに、福岡に「ブルージャム」を、向ヶ丘遊園「セテュヌ ボンニデー」を次々とプロデュースし、日本のベーカリーシーンに新しい風を吹き込みました。
コンプレ60 340円
関わる店ではポストハーベストの心配のない国産の小麦のみを使用。365日では、挽きたてがおいしいライ麦のような粉は一部、自家製粉もしています。素晴らしいのは食材の加工をできるだけ自分たちでするというところ。ハムやベーコンは豚を一頭単位で仕入れ、自らさばいて加工することで、安心なものを安価に提供することができるのです。取材中、ガラス越しに厨房を見ると、スタッフがパンに使うハムやドライリンゴ作りに精を出しているところでした。
林檎×シナモン 230円
オリーブラルドン 220円
杉窪章匡さんのパンづくり
小さくてめずらしいかたちのパンが並ぶ
「お菓子でも料理でもパンでも素材の知識、理論があれば、何の難しいこともないんです。仮説をたてて、ひとつひとつのパンに、新しい提案をしていきます」
365日×ブリオッシュ 160円
ショウケースをみれば、余計な装飾はないけれど、そのかたちは珍しく、かつ洗練されている。小ぶりなパンが多いのは、新鮮なうちに食べきり、毎日買いに行くための店だからかもしれません。伝統的なパンでありながら、何かまったく新しい食に触れた感じ。
コンテ×24ヶ月 200円
クロッカンショコラ(ガナッシュ入り)240円
食べてみて気がついたことは、味のバランス感覚でした。質の良い素材を生かしているだけではなく、砂糖であれバターであれ、生地に合わせた素材の分量に過不足がない感じ。無駄を省いていながら、ブリオッシュはどこまでも柔らかく、クロワッサンは豊かに香り、定番の「ソンプルサン」には輝くような艶があり、チーズやベシャメルソースやハムを包んだパンは出来たての料理のようでした。これは菓子や料理に精通するパン職人ならではのセンスかもしれません。
100%=ソンプルサン 240円