不妊治療の初診年齢が1歳、体外受精は1.6歳も若くなった!
齊藤英和医師は内閣府の少子化危機突破タスクフォースのメンバーでもあり、卵子老化による不妊について社会的な啓発活動を続けてきた医師のひとりです。私が不妊治療の取材を始めたのは2000年代中頃ですが、齊藤医師は当時すでに「妊娠しにくい時期に入ってから受診する人が多すぎる。医師は不妊に悩む人を診察室で待っているだけではだめだ」と言っていました。その齊藤医師によると、国立成育医療研究センターでは最近、不妊治療に来る人の平均年齢が下がってきたそうです。昨年まで、同病院では不妊治療の初診年齢は平均38.7歳でしたが、それが1歳近く若くなって37.9歳となっているというのです。さらに、体外受精を行う人の平均年齢も、41.3歳となっていたのに1.6歳若くなって39.7歳になりました。
40代からのスタートでは補助金も受けられなくなる
これも、やはり卵子老化に関する報道などが影響し高齢妊娠への考え方が変化してきたためかもしれません。また、国が体外受精、顕微授精の治療費を補助する「特定不妊治療助成制度」に「42歳まで」という年齢制限を新設する方向で動いていることも大きく関わっている可能性があります。学校の教科書にも「不妊」が記載されるように
「意識は、確実に変わってきていると思います」齊藤医師はそう言います。学校教育でも、学習指導要綱の改編によって不妊症についての記述が保健体育の教科書に記載されるようになったそうです。
「新しい教科書は今年から使い始められています。まだピンと来ない年齢で話を聞くことになりますが、学校で一度でも聞いておけば、その知識が本当に必要になった時、すぐに思い出せるのではないでしょうか。これからは、その知識が本当に生かせる、若いうちから産みやすい社会を作る取り組みが最重要になっていくと思います」
「卵子の老化」 を一時のブームに終わらせないために
男性も、子どもが欲しい人は多い。
1. 男性への周知 (前述の調査で「卵子の老化」という言葉の認知度に大きな男女差があったということは、知識・意識の差も大きいことを表しているはずです)
2. 学校教育、社会人教育の場で誤解・曲解なく、継続的に伝達されていく仕組みを作り、卵子老化の話題を一過性のブームで終わらせないようにすること
3. 子どもが欲しい人が、あまり遅くならずに安心して妊娠できる社会を作ること
大切なのは、これからではないでしょうか。
■もっと知りたい方のために
未妊レポート2013 子どもを持つことについての調査(ベネッセ教育総合研究所)
berd.benesse.jp/jisedaiken/research/research_27.html
「卵子の老化」と不妊をめぐる3つの勘違い(All About)
allabout.co.jp/gm/gc/413624/