イギリスのクリスマスが描かれた絵本
日本に暮らす私たちは、クリスマスと言えば、どこの国でも同じような祝い方をするものと思い込んでいます。でも、各国のクリスマス絵本を見ていると、どうもそうとは限らないようです。例えば、イギリスでは、サンタクロースをファーザー・クリスマスと呼んでいるのだとか。 サンタの呼び方ひとつとっても、まるで違うのですね。そこで、この章では、イギリスの人々のクリスマスや普段の暮らしぶりが、丁寧に描かれた絵本をご紹介します。
■そりぬすみ大さくせん
お待たせしました! まずは、イギリス絵本界の大御所マイケル・フォアマンの登場です。黒いサングラスをかけた、まるでタモリのような風貌の泥棒たちの標的は、なんとサンタクロースなんですって。サンタクロースを誘拐すべく前代未聞の大作戦が展開されます。
さて、それから、なんだ、かんだ、ありまして……ココは読んでのお楽しみ(笑)……むかえる結末には、『すてきな三にんぐみ』を彷彿とさせる温かさと、「えっ、そう来る?」という驚きがあります。どのページも、泥棒たちの表情やイギリスの人々の暮らし向きなどが丹念に描かれていて、最初から最後まで1つとして見逃してよいページはありません。さすがマイケル・フォアマンと、あらためて彼の絵本作家としての力量が感じられる作品です。
詳しくはこちらから → 腕利きの泥棒がサンタを狙う『そりぬすみ大さくせん』
次にご紹介するのは、イギリスの家族愛に満ちた家庭の様子が垣間見える、読み応え満点の作品です。
■ファーザー・クリスマス サンタクロースからの手紙
この絵本は、少しばかり趣向の変わった作品です。というのも、『ホビットの冒険』や『指輪物語』の作者J.R.R.トールキンが、サンタクロースになりすまして、自身の子どもたちに送り続けた手紙や絵を収めた本なのです。ファーザー・クリスマスという題名の通り、父なるサンタクロースからの愛情いっぱいの書簡集という訳ですね。
その内容は、子どもたちに宛てた私信とは思えないほどの充実ぶりで、添えられた絵はどれも美しく、 サンタや北極熊の自筆の文字や、一癖もふた癖もある登場人物など、子どもたちをワクワクさせるアイデアが山ほど詰まっています。こんな手紙をもらっていたトールキンの子どもたちが、本当に羨ましい。隅から隅まで、トールキンの魅力にあふれた作品です。
詳しくはこちらから → サンタに会いたい子にお薦めの絵本 『ファーザー・クリスマス』
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