テクノポップ/アーティストインタヴュー

(鈴木慶一+KERA)X新生ナゴム=No Lie-Sense(8ページ目)

ナゴムレコード30周年! 新生ナゴムレコードからの第1弾アーティストとして、No Lie-Senseが『First Suicide Note』を11月6日にリリース。No Lie-Senseは、秩父山バンド以来となる鈴木慶一さんとKERAさんのユニット。ユニット結成、レーベル再始動、製作中の話、そして昔話までお二人に語り尽くして頂きました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

慶一さんとKERAさんの接点

ガイド:
慶一さんは80年代にKERAさんがナゴムレコードでやっていたことをどう見ていたんですか?

鈴木:
ナゴムはわりと縁がない。ナゴムから1枚出した人、直枝(政広)君とかグランドファーザーズとかそのへんはその後もおつきあいがあって、「あ、ナゴムにいたの?」って後で気づいたりもする。で、私は水族館レーベルのようなものを作っているけど、あれはメジャー傘下にいる一レーベルであって、長持ちしなかったよね。で、ナゴムは長持ちしてるじゃない?これはすごいことだよ。これぞインディーズだと。KERAは80年代に開始したけど、私たちがムーンライダーズ・レコーズを開始するのは21世紀に入ってからなんだよ。そんなタイムラグがある。

ガイド:
KERAさんはムーンライダーズをいつ頃から聴き始めました?

KERA:
80年の『カメラ=万年筆』から入って、そこからは発売日に買ってましたね。だからポニーキャニオンに行った時、発売日前にサンプル盤がもらえるのが嬉しくてね。「ムーンライダーズのサンプル盤いつできるの?まだできないの?」って、ディレクターをせっついてた(笑)。

ガイド:
メジャー・レコード会社の中でライダーズがやっていることは、どう目に映りましたか?

KERA:
すごく刺激的でしたね。特にニューウェイヴは先陣を切るっていう、最初にやった者勝ち、みたいなところあるじゃないですか。それを聴いてから「あれみたいのやりたい」となると全然違う話なんですよね。新鮮度も落ちるし。

鈴木:
それをやるにはレコード会社と折り合いをつけつつ騙さなきゃいけない。予算を引っ張り出さなきゃいけないし、誰かが始末書を書くかもしれない。

KERA:
そうですね。それをやるには僕らはまだ子供でしたよ。

鈴木:
レコード会社に期待してもらっておいて好きなことをやるっていうのは、ひじょうに難しい。「これ売れないんじゃないの?」「いや、もう一回聴いてみて」とかうまくかわしつつも、段々しめつけが厳しくなる。東芝行くと「プロデューサーをたてたらどうか?」と言われ、(レコード会社がセレクトした)プロデューサーに会いに行くと「600曲作れ」と言われる。「それちょっと、バンドのメンバーに持ち帰ります」と言ってメンバーに相談すると、「600曲?そんなの無理無理。やめやめ!」ということになる。そしてレコード会社の人が「最大のチャンスを逃しましたね」と言ったりもする(笑)。その次にファンハウス行けば「カヴァーはどうでしょう?」と言って、大量のリストが出てくる。その中から選んだらどうかって。それを持って帰るけど、全然違う曲を選んじゃう(笑)。

KERA:
それ、ファンハウスでロンバケ(ロング・バケーション)も言われたの。慶一さんが断った曲を「歌わないか」って(笑)。

鈴木:
アイデア一個しかないんだな(笑)。

KERA:
600曲って、ひとり100曲でしょ?それをどんだけの期間で作れって言われたんですか?

鈴木:
一ヶ月以内(笑)。

KERA:
むちゃくちゃだよ(笑)。
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